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朝靄に包まれた城壁は威圧感を増し、外から見上げるといつも以上に厳つい雰囲気を醸し出している。
まだほんのり薄暗く冷えた空気が頬を撫でる中、Aはゆっくり後ろを振り返った。

『早朝にも関わらず、お見送りありがとうございます。大変お世話になりました』

振り返った先に立っていたトントンとオスマン。
代表して見送りにきた二人は笑顔で応えると、Aの横へ鋭い視線を向ける。

「いえ、大したおもてなしも出来ずにすみません。…お前らほんま迷惑かけんなよ、頼むから」
「そうなったら二人まとめて粛清やろなぁ」
「大丈夫やって!護衛くらい余裕で務めたるわ!」
「…シッマお前よう起きれたな」
「当たり前やろ!…まあ帰りは寝るかもしれんけど、そん時はゾム頼むで」
「そしたらお前だけ道端に置いて帰るわ」
「連れてかんかい!」

朝から元気だな。
一連のやり取りを眺めてそう思う。
一緒に馬車に乗るのは初めに護衛を申し出たゾムと、自ら志願したコネシマ。
そもそも護衛は必要ないと言ったのだが、ほとんどの幹部に反対されて押し切られた結果こうなった。

「Aちゃん、またな」
「お気をつけて」
『はい、皆様にもよろしくお伝え下さい』

和やかな挨拶を告げて馬車に乗り込む。
全員が乗り終わるとすぐに発車し、二人の姿が遠ざかっていく。
窓から見える人影は小さくなっても角を曲がるまで消えることはなかった。




「てかさ、あいつら来んの?どうせ来んやろ」
「まあ来ないとは思うで。こんな早朝やし、あっち弱体化始まってるし」
『やはり護衛は必要なかったのでは…』

呑気に会話する二人に思わずツッコミを入れる。
しかし二人揃ってすぐに首を横に振られた。

「一応や一応。万が一何かあったら大変やん。そっちの二人も戦闘専門とかやないんやろ?」
「は、はい…」
「残念ながら」
「ほんならやっぱ俺らいるやんけ!」
『それでも幹部の方を二人もお借りしたのは申し訳ないのですが』
「遠慮すんなやA!水臭いで!」

「まああれや、そんだけ必要な奴やと思われてるんちゃう?居なくなられたら困るってことやろ」
『真っ先に申し出て下さったゾムさんにそう言われるとは思いませんでした』
「あ、…いや俺は単におもろそうやからやけど」
「ガバったな、ゾム」
「やかましいわ、殺すぞ」
「ああん?やんのか?」
『私が謝りますから車内で喧嘩しないで下さい』

部下二人が呆気にとられている中、Aは彼らを宥めてすぐに別の話題を振った。

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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます! (2019年5月10日 23時) (レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです!ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ! (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…!?まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…!お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃亜 | 作成日時:2017年5月24日 22時

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