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「こちらは全て話した。Aから言いたいことや聞きたいことがあればどうぞ」
机の上で手を組んでAを見るグルッペン。
前回断った理由はほとんどカバーされてしまった。
『以前もお伝えしましたが、私は生意気で聞き分けがありません。結構頑固ですし、上司にもそれなりに意見しますよ』
「上等だ。お前より何倍も生意気で聞き分けのない奴らの集まりだからな、今更気にしない」
『なるほど。では不敬を承知でもう一つ。…戦争はお好きですか？』
以前兄さんに聞いた時とは違う、にっこりと笑って問いかける。
「まあ好きか嫌いかで言えば好きだろうな」
『そうですか。私は嫌いです』
淡々と、しかし微笑みは崩さないA。
グルッペンの目が面白そうに細められた。
「ほう、それは何故？」
『極端な暴論を振りかざして言えば、あんなの結局は権力者同士の喧嘩でしょう？巻き込まれるその他大勢としてはたまったものではありませんね』
「喧嘩か。確かに暴論だな」
笑いながら相槌を打つグルッペンの機嫌はそれほど悪くない。
しかし仮に悪かったとしても、Aとしてはここだけは譲れなかった。
『初めに暴論だと申し上げました。どうしてもやりたいなら本人同士が素手で殴り合えばいいとすら思っています。それなら対岸の火事を眺めるだけですから』
「ククッ、お前にしてはずいぶんぶっ飛んだ意見だ」
『多くの民衆はそうではないですかね。巻き込まれて命や生活が危うくなるなんていい迷惑ですから、やるなら自分の知らないところで勝手にやってくれと思うでしょう。ですが実際国家という大きな規模で好き勝手に戦争されては困るので、私は基本的に避けられるリスクは避けて通るか、あらかじめあらゆる方面から手を打ってきました。そのスタンスを変えるつもりはありません』
思ったより冷静だ、心が落ち着いている。
自分自身でもそう感じた今なら言える。
『つまり、貴方の秘書が貴方の好きな戦争を潰しにかかりますが、それでも私を雇いますか？』
にこりと、今までで一番含みのある笑顔で問いかけるA。
グルッペンは一瞬目を丸くすると口元に手を当てて笑い出した。
「なるほどな。面白い、やれるならやってみろ」
『おや、止めないんですね』
「ああ、止めないゾ。ただし俺を出し抜けたらな」
楽しそうな彼を見てから目を閉じる。
大佐は何て言うだろう、怒るかな、呆れるかな。
いや、あの人ならきっと私が聞く前に微笑んでこう言うだろう。
君はどう思う？、と。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
