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国へ戻り、また仕事へ取りかかる。
書類はやはり増えていた。
わかっていた結末だと自分を納得させ、すぐに作成した報告書を携えてある部屋へ向かう。
一息つく暇もなく、部下の入れたコーヒーにも一口しか口をつけられなかった。
「…なるほど、では幹部の半数以上とは顔を合わせた訳か」
流し読みした手元の書類から顔を上げて告げたエーデル。
それは先程Aが完成させた報告書だ。
もちろんお茶と食事を楽しんでいたと書くはずもなく、そこにはオスマンとの茶会で得た情報や、幹部と城内の設備について堅苦しい言い回しで書かれていた。
物は言いようである。
「感触としてはどうだ？」
『友好的ではありますがまだ掴みの段階でしょう。今後は親睦と共に両国の利益関係も考えて様々な案を提案すべきかと』
「そこで権威を持ち出さないのが君らしいな」
そうエーデルは微笑むが、すぐに真面目な顔つきに戻ると机の上に肘をついて顔の下で両手を組む。
「第一外交官としては、我が国は今後彼らとどのような関係を結ぶのがいいと判断する？」
その質問にAは姿勢を正し、まっすぐエーデルを見つめ返した。
『理想を言えば同盟関係になるのが望ましいですが、周辺諸国との関係性を見るに恐らくそれは難しいでしょう。ですので、できれば不可侵条約まで漕ぎ着けられればと思いますが』
「不可侵か…」
『もちろん信用がなければ難しいでしょうから、ある程度の時間か国際情勢の変化を要します。ただ、彼らと事を構えるのだけは避けた方が賢明かと』
前情報で既に危険視してはいたが、この三回の外交で完全に察した。
味方であれば心強いが、敵には絶対に回してはいけない国だ。
城内の兵の配置と彼らの忠誠心、見張り台の位置などの城の構造、新しく仕入れたと言う武器、幹部のスペックの高さと団結力。
仮に敵国ともなれば脅威でしかない。
ただの親睦や友好だけではない、確実な情報もAは持ち帰っていた。
「わかった。ではその方向で上には進言しよう。しかし君自身は気に入られたんだな」
『逆に言えば国にはあまり興味を持たれていないようですが』
「まずいな、A君の引き抜きは避けたい」
『引き抜かれませんよ、安心して下さい』
「安心はできないが君のことは信じている。だから今日はちゃんと寝るように」
『脈絡がありません、大佐』
「君の顔色の悪さをなんとかする為だ」
『顔色はいつも通りです』
以前もあったやり取りにAは知らず苦笑を浮かべていた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
