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先日と同じ部屋にも関わらず、その扉は何故か前回よりも重く感じる。
ゆっくりと開かれた先に居た人物は威厳のある姿勢でソファーに座ってこちらを見据えていた。
艶のある綺麗な金髪は端正な顔立ちを引き立たせ、動く度に長めの前髪が細い眼鏡のフレームに掛かる。
黒の軍服とネクタイは彼の為に存在しているかのようにその身にピッタリと収まり、瞳には鋭い光と確かな意思を宿している。
彼は視界にAを入れると一瞬目を細めたが、彼女の後ろに見えた影によってその表情はすぐに引きつったものに変わった。
「…トン氏、何故ここに」
「外交官殿をお迎え、ご案内しました。あんたのわがままの謝罪もしといたで」
「…オスマン」
「すまんバレた」
あっさりとそう告げたオスマンに男の顔が歪む。
微かに聞こえたため息は恐らくトントンのものだろう。
置いてけぼりのA達だが、先程のまでの気合いはもはやすっかり霧散してしまっていた。
第二外交官の呆けた横顔を無視し、Aは目の前のやり取りを眺めながらこの国のトップの認識を改める。
何の目的かは知らないが、書記長にも黙ってそれほど親しくない国との外交に参加するとか。
もしかしたらこの総統、思っていたよりもいろんな意味で厄介かもしれない。
「言い訳は後で聞くわ。自分も参加するんで」
「何？」
「外交官殿に許可はいただいてますが？」
トントンがそう言ったところで男は再びAらの存在を思い出したのか、一つ咳払いをして立ち上がる。
そしてゆったりと彼女の前までやってくるとようやく口を開いた。
「待たせたな。私がここの総統であるグルッペン・フューラーだ」
『お初にお目にかかります総統閣下、Aと申します。お会いできて光栄です。本日は私共に貴重なお時間を割いていただき、誠にありがとうございます』
「構わん、私から参加を申し出たのだ。気にしなくていい」
『お心遣い、痛み入ります。…こちら、本日の外交のお供にお持ちさせていただきました。よろしければお召し上がり下さい』
用意させたチョコレートを第二外交官から受け取り、自ら両手で差し出す。
その箱に印字されたマークを見てオスマンが小さく声を上げた。
先日持ってきた焼き菓子と同じ店のものだからだろう。
そんな所に気がつく彼も彼だが、こちらとしてはそれも計算の内である。
『総統閣下のお口に合うと良いのですが』
Aが笑顔で再び差し出せば、
「試してみよう」
グルッペンも僅かに口角を上げてそれに応えた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
