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暗く塗り潰されていた空がうっすらと光を帯び始め、少し冷えた空気が窓の横のカーテンを微かに揺らす。
静寂が広がる室内に見えるのは積まれた書類の山と、それに囲まれて座ったまま机に突っ伏している小さな人影が一つ。
それまで微かに上下していただけの人影はチュンチュンと鳴き出した小鳥の囀りに一度肩を震わせるとゆっくりとその身を起こした。
『…………あさ…』
その女性は誰に言うでもなく呟いて窓の外をぼんやりと眺める。
やがて少しずつ覚醒してきた意識で机を振り返れば、昨晩何とか終わらせた書類と様々な国の資料が目に入った。
段々と記憶が蘇ってきたところで一つため息を吐くと、椅子から立ち上がって大きく伸びをする。
固まった身体が微かに悲鳴を上げ、着ている軍服が窮屈に感じた。
『…とりあえずシャワー。それから考えよう…』
首の辺りのボタンを外しながら隣の自室へトボトボと歩いていくその後ろ姿はお世辞にも元気一杯とは言い難い。
自身でも年頃の女性としてどうなのか、と思わないこともなかったが、シャワーを浴びている間にその考えは本日の仕事の内容にあっけなくかき消されてしまった。
『おはようございます』
「…ああ、おはよう、第一外交官殿」
幾分かスッキリとした頭ですれ違う上官に挨拶をすれば、至極微妙な表情で挨拶を返された。
そして自身が立ち去ると後ろからヒソヒソと何事かを話す声が微かに聞こえてくる。
普通はあまり気分が良いものではないが、彼女にとっては大した問題ではない。
下手をすれば無視されたり難癖をつけてくる輩も何人かは居る為、むしろ今の上官は挨拶を返してくれただけマシなのだ。
「おはよう、A君。相変わらず顔色が悪いな」
明らかに先程とは違う穏やかな声が横に並んだことに気がついたAが立ち止まる。
見上げた先に予想通りの人物が笑顔を浮かべていたので彼女の表情が少しだけ柔らかくなった。
『おはようございます、エーデル大佐。顔色はいつも通りです』
「つまりいつも通り遅くまで仕事をしていたということか」
『否定はしません』
きっぱりと言い切ったAにエーデルと呼ばれた男はわかりやすく苦笑いを浮かべながら歩を進めた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
