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「漣くんは優しいね。私なんかのために、そんな顔してくれるんだ」
「だって……あんたはたった1人のオレ達のプロデューサーなんです！あんたじゃないとダメなんですよ！」
苦しい。泣きそうだ。
けれど、この場所に綺麗な思い出を残したまま、去りたくはない。
「母の言った通り、私は才能なんてない。曲作りも衣装だって、凡人以上のものしか作れない」
「そんな事ないです！Aさんが作るものは、全部想いが詰まってて……言葉じゃ上手く表せねぇけどスゲェ心が惹き付けられます！」
漣くんの言葉一つ一つが、私の心に留まっていく。
温かくて、私には不釣り合いなくらいのその言葉が。
「……漣くん」
「はい」
「君には、アイドルとしての素質がある。だから、何があっても、どんなに辛い事があっても辞めないで、前に進んでほしい。私みたいな出来損ないにならないで」
彼を日和くんが見つけて、私に紹介してくれた時からずっと、彼には輝く何かを感じていた。
それは彼という原石を磨いていく度に大きく感じていき、彼の内に秘めていた才能が外に出てファンが増え、嬉しさを覚えていったのだ。
「そんな……本当の別れみたいな事言わないでくださいよ」
「どうしても自分で解決出来ないような困難にぶつかったら、迷わず日和くんを頼って。普段はうるさいけど、いざとなったら必ず助けてくれるから。もちろん乱くんや七種くんもね」
きっと、これが最後の会話になる。
他に伝えたい事、言い残した事はないかを探して、それを口にしていった。
それを聞く度に、漣くんが泣きそうな顔で見てくるものだから、私にもそれが移りそうで、込み上げてくるものを堪えるのが大変だった。
「……本当に楽しかった。嘘じゃないよ本当に。勝手かもしれないけど、漣くんの事、可愛い弟のように思っていたから。一人っ子の私には、すごく嬉しかった」
「そんな……オレだって、あんたの事を姉のように慕ってましたよ。それに、あんたの弾くピアノが初めて聞いた時から好きでした。大好きでした。聴こえる度に、こっそり聞き耳立てるくらいに」
やめてよ漣くん。
君の前からいなくなるのに、これじゃあどんどん辛くなるだけだ。
「_______________今までありがとう、漣ジュンくん」
最後にそう言い残して、私は彼の前から去った。
溢れ出る涙を、手の甲で拭いながら。
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リア(プロフ) - 最高に面白いです！日和が可愛すぎる！！！更新楽しみに待っています(^^) (2020年1月24日 17時) (
レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 凄く私好きな話だと思います！滅茶苦茶好きになりました！！更新待ってます。頑張ってください！！ (2020年1月23日 6時) (レス) id: 1d868b34d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水神友花 | 作成日時：2020年1月19日 12時
