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あの団扇を返そうか迷ったが、本番前に日和くんが煩くなるのは避けたかったし、結局持ったまま正面に来てしまった。
「聞いてください。Eveの新曲、【Sunlit Smile】！」
漣くんが言った直後に、2人と共に作り上げた曲が流れ出す。
曲が流れ出し、彼らが歌い出した途端、まるでEveの2人だけにスポットライトが当たるような感覚になった。
観客からも、Eveに対する声援がほとんど。
……作戦は成功。計画通りだ。
「随分とやってくれたみたいだね」
突然、私の横に現れたのは、薄く白に近い黄土色の髪をもつ、儚げな雰囲気の青年。
……いや誰？
「僕の事ぐらいちゃんと調べておいてほしいな。それに、君とは昔会った事あるのに。ね、Aちゃん」
「……本当に誰です？」
「天祥院英智だよ」
(天祥院……何処かで聞いた事が……)
『_______________Aちゃん』
その瞬間、かつての若かりし母の声と共に、昔の光景が脳内に流れてくる。
『Aちゃん。今日は、天祥院財閥主催のパーティーで_______________』
思い出したくもない、過去の記憶だった。
「天祥院財閥の息子さんね。貴方と直接会ったのは、1回だけじゃない」
「それでも僕は、懸命に覚えてるよ」
「_______________小さいながらも立派に振る舞い、大人の為に大人に飼い慣らされた、道具のような君をね」
「黙れ。たかが一度会った程度の分際で、私の事を全て知っているかのような口を聞きやがって」
彼に思わず腹が立ち、口が悪くなってしまった。
でも、反発せずにはいられない。
過去の私の苦しみも、悲しみも知らないのに、どうしてそう知った口がきけるの？
夏の暑さと観客の熱気と掛け離れた空気が、私と彼の間に漂っていた。
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リア(プロフ) - 最高に面白いです！日和が可愛すぎる！！！更新楽しみに待っています(^^) (2020年1月24日 17時) (
レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 凄く私好きな話だと思います！滅茶苦茶好きになりました！！更新待ってます。頑張ってください！！ (2020年1月23日 6時) (レス) id: 1d868b34d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水神友花 | 作成日時：2020年1月19日 12時
