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あの時止まってしまった当時の私の中の時計が急激に動き始めたのだろうか。
夏休み中、遊んでくれた “ 涼太くん ” の事を当時の私はどうしようもなく好きだったらしい。
たかが小学校4年生の恋愛かもしれないけど、その時の私は純粋に恋をしていた。初恋である。
「Aっち、」
そんな私の初恋の彼が目の前にいる。
“ 黄瀬くん ” は、私があの時の子であると気づいていたのだろうか。
考えてみれば、私に記憶が無いだけで相手の男の子は忘れない限り記憶には残る。
「…無理に思い出させるようなことして、悪かったっス」
『ううん、思い出せてよかった』
過去を思い出した上でどうしようもなく溢れるこの気持ち。きっと思い出さなくても私は黄瀬くんを好きになったのだろうけど、それでも。
またこうして出会えたのは、神様が引き合わせてくれたのだろうか。
『黄瀬くん』
どうして彼が苦しそうに顔を歪めるのか私には分からないけれど、
『好きだよ』
私は彼をそっと抱きしめた。
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作者名：愛璃珠 | 作成日時：2021年8月7日 20時
