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それからすぐ夏休みは終わって、その子に会うこともないまま。

会いたい、話したい、でも俺のことは覚えていない。
周りが好きな人がどうのこうのって騒いでいたけど、多分俺の好きな人はAちゃんだ、と感じていた。


…ずっと引きずってて、中1になるまで好きな人なんて出来なかった。









「Aっちが記憶を戻すことってもうないんスか?」


『どうなんだろ、いつかは戻るのかもしれないけど…カウンセラーまで受けて戻すほどでもないから、今は放ってる』


「ふーん…いつか戻るといいっスね」


『まぁ、ね』








その記憶が戻ったところで、あの時の少年は俺だと告げたところで…特に意味は無いけど。


俺の初恋はAっちだった、なんて言って。



中学の頃はお互い嫌いだったのに、それが何になるってんだ。






…さっきAっちが言った、俺のこと好きな女の子の全員が見た目に群がってきてるわけじゃないって。

バスケ頑張ってて、気遣いできてって。それに気づくってことは、Aっちが俺の事をそう思ったからっスよね?





最初は俺から突き放した。だからAっちはただ可能性の話をしただけであって、Aっちが俺の事を好きになるわけない。

それでいいはずなのに、なんか心がモヤモヤして。




…俺の初恋がAっちだったと確信したからだ。いつも以上に意識しちゃってるだけ。きっとそうだ。








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作者名:愛璃珠 | 作成日時:2021年8月7日 20時

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