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携帯の着信音が鳴った。

ディスプレイには、黄瀬涼太の文字。








『もしもし』


「あ、Aっち?もう家出た?」


『今から』


「一緒に行こ!俺今Aっちの家の前!」


『はぁ?』









携帯を片手に外に出れば、確かにそこには黄瀬くんがいて。

私は神奈川にアパートを借りている。黄瀬くんもマンションを借りているらしく、割とここから近いらしい。

だからたまに一緒に部活へ行ったりはしていたが、家の前まで来たのは初めてだった。








電話を切って、




『なんでいるの!』






と少し大きめの声で叫べば、





「散歩してたっス!」






とよくわからない返答が返ってきた。









カバンを持って階段を降りて、黄瀬くんの所まで行く。








「俺朝食べてないんスよね〜、コンビニ行こ!あそこの!」


『私手持ち少ないのに』


「奢るんで!」








中学時代、ジャン負けが箱アイスを買うことになり黄瀬くんが負けた時に数回貰った程度。

その時も私には嫌な顔してたっけ、黄瀬くん。



こうやって奢られるのは初めてだな、と思いながら飲むヨーグルトを奢ってもらった。








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作者名:愛璃珠 | 作成日時:2021年8月7日 20時

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