癒されたい ページ23
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わたしのベッドの上で、こじんまりと香箱座りする愛猫の顔に両手を包むように添わせる。
「可愛いね〜」
動物でも植物でもなんでも。
生き物はイイ事をいっぱい言って褒めてあげると元気になるというのがわたしの持論だから。
可愛い可愛いと言いながら、アンジュの顔をこねくり回す。
「…さっきから何してんの」
「小顔マッサージ」
「小顔、マッサージ…」
「そうだよ〜気持ちいいね〜」
いつから見てたのか、わたしの部屋の戸口にもたれて立っていた藤原くん。
部屋に入ってきてベッドに腰掛けると、その振動でなのかアンジュがひっくり返ってコテンとお腹を見せた。
「効き目あんの?」
「わかんないけどいつも気持ちよさそうだよ」
「ふーん」
「触られるの好きになってくれた方がいいし」
今度はあごの下や前足の付け根からお腹と、くるくると指先で優しく。
肉球の間も軽く指圧するように押す。 そういえば…どこかに怒りんぼうに効くツボもあるって何かで見たような…今のとこ必要ないか。
人に触られるのが苦手な仔もいるけれど、出来れば平気になってくれると病気やケガも見つけやすいから。
アンジュはゴロゴロと喉を鳴らして目を瞑っている。
これは…寝ちゃいそう。
「こうやって触ってるとこっちが癒される」
「科学的にも証明されてるんだっけ…」
「そうみたいだね」
「……A、ちょっとこっち」
ベッドの下に座ってたわたしを立たせて、なぜか藤原くんの足をまたぐように向かい合わせにさせられる。
「え、どうしたの」
「…俺も癒されていい?」
そう言って、やわらかく抱きしめられる。
いつもと違って自分より下にある藤原くんの頭…髪の毛に指を差し込んで、梳くように撫でていたら。
「…あ」
「んー?」
背中に回されていた藤原くんの手が、服の裾から侵入して素肌に触れる。
「ちょっともう…」
「…俺はさ、Aを触れば癒されるから…だからいっぱい触る」
時々こんな子供みたいなことを言い出す藤原くんは、きっとわたしだけが知っている姿だと思うとちょっと嬉しい。
服の中、素肌に触れている手が撫でる以上の熱をもつ気配もなくて。
こうして触れ合うことでお互いに安心と愛情を伝えられる、そんな相手がすぐ傍にいる…それってすごく幸せなことだなあって。
わたしが癒しになれるというのなら。
「…好きなだけどうぞ」
その言葉に笑う藤原くんを抱きしめた。
end
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ちょる(プロフ) - 優希さん» うわぁ…嬉しいお言葉どうもありがとうございます!優希様を少しでも癒せているのなら良かったです。頑張って更新しますね! (2020年8月29日 0時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 5周以上読み返しています笑樹くんも彼女も可愛くていつも癒されていますこれからも応援させてほしいです(^^)頑張ってください! (2020年8月25日 21時) (レス) id: 307e0556dd (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - やのさん» コメントどうもありがとうございます!やの様のお宅にも天使ちゃんがいるのですね〜嬉しい偶然でした。少しずつですが更新頑張りますね! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
やの - 偶然にもうちの愛犬と同じ名前でビックリ 笑 これからも更新頑張ってください! (2020年6月14日 17時) (レス) id: 5ec2e089be (このIDを非表示/違反報告)
ちょる(プロフ) - ゑ。さん» 感想頂きどうもありがとうございます!猫のようにマイペースな感じが出てたら嬉しいです。少しずつお話増やせるように頑張ります。 (2020年5月3日 22時) (レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょる | 作成日時:2020年4月28日 21時