猫みたいな彼と彼女のお話

天使がやってきた-1 ページ19

side 彼


玄関を開けたら、ダンボール箱を抱えて困った顔で立っている幼馴染がいた。


『ちょっと今から行っていい？』
『驚くかもしれないけど…』
『…助けてほしい』


来る前にきた電話で、いつになく真剣みを感じる声に何事かと思っていたんだけど…。




「わあ…可愛い〜」

「…どうしたの」


ダンボールの中には一匹の猫がいた。
白黒で綺麗なハチワレ。 キトンブルーから少し黄色っぽい瞳になりかかってるってことは３ヶ月くらいかな。


「…ちょっとヒーローぶってしまいまして…」



経緯を聞くと、仕事で出先から戻る途中に近道だからと抜けていこうとした公園。
会社近くのその公園の隅っこで、ダンボールをのぞき込む小学生たちが気になって声をかけたらしい。

ダンボールの中には三匹の小さな猫。
そして家から持ってきたのかハムやらパンやら牛乳やら…どうも前日に発見して面倒をみようとしてたとか。

その優しい心は褒めるべきだけど、そのままでは不衛生だし…外というのは子猫には危険が多すぎる。

家で飼えないのか訊いてみたところ、色々事情があってそれぞれダメだと言われてしまった…と。


「で、ついつい兄ちゃんに任せとけって大口をたたいてしまったってわけね」

「…まあそういうこと」

「でも翔平くん、他のコは？」

「会社で聞いて回ってなんとか二匹は貰い手がついたんだけど」

「そっか〜君だけ残っちゃったんだねぇ」


こんな可愛いのにね〜と箱の中に話しかけてるAを見るに、とっくに引き取るつもりなんだろうと思う。
翔平は後輩とルームシェアしてるから、自分勝手に飼うわけにもいかないし。

まあせっかく飼える環境に引っ越したわけだし…俺もAも猫との生活には慣れているし、そもそもが好きなんだから。


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