Fischer's 短編 2。 (ページ7)

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↓(モトキ続き) ページ7

撮影終了後
シルクとマサイが部屋の片付けと編集を始め、Aもそれを手伝う。

モトキはマサイとシルクが腹減った、と言うので手軽なものを作りに台所にいる。

そんな中、Aが台所にコソッと現れる。
モトキが彼女が見ているのに気付き声を
かける。

「どうしたのー。
Aもお腹すいた？」

モトキが笑いながら言う。

『違います！
そうではなくて、ちょっと尋ねたい事が
ありまして…。』

「ん、何？」

『今日のポッキーゲーム…、
鍔を前にしていたのはわざと負けるため
ですか？』

モトキが少し笑って、なんのことー？
としらばっくれる。

Aはモトキに近付き真横につく。

『いつもは鍔を後ろに向けてるじゃない
ですか。今みたいに！』

Aがモトキの帽子の鍔を指差す。

「そうだよ、って言ったら何かお礼に
してくれるの？」

意地悪く笑うモトキ。

でもAは怯まずにしますよ、と答える。

はぁ。と少し呆れたようなため息が出てしまいそうになる。

深読みせずにそんな簡単に答えちゃ
ダメでしょー。

「じゃあ、ココにキスして。」

トントンと自分の頬を指す。

Aが驚き、顔が赤くなる。

「出来ないでしょ？
だからそんな簡単にします、とか言っちゃ
ダメだよ。」

とモトキがAを嗜めるように言うと、

Aがモトキの服を掴んで

『出来ます！私だって…。
子供扱いしないで下さい！』

下から必死に言う彼女が上目遣いかつ下から加わる弱い力で余計幼く見えて、可愛い。

いつもみたいに上手くかわしたり、からかったりする事が出来ず、

煽ってみせた。

じゃあ、して？と言って身を少しかがめる。

すると、Aが俺の肩に手を置いて
少し背伸びをする。

俺の耳元で

『ありがとう。』

と言って頬にキスをした。

Aの顔は一瞬しか見えなかったが耳まで
赤くして、台所を出ていった。

そこにちょうど、シルクが通りかかり

「おつまみ出来たー？

ってお前、顔赤いぞ。大丈夫か？」

モトキがシルクから顔を逸らすように
後ろを向き

「大丈夫、大丈夫。
あともう少しで出来上がるからあっちで
待ってて。」

と伝えてシルクを別の部屋に移動させる。

「はぁぁぁ…
あれは、堪えるってーー。」

と両手で火照った顔を隠す。