あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ8)

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『んなわけないでしょ。笑』

「ならいいけど」

本当はもっとしつこく

聞いて欲しかっただなんて

言えるわけがなかった。

『…友達って、どうやったら

できるんだろ』

「無理に作る必要ないだろ」

『わかってないね。

女子っていうのは常にグループ化してて、

誰かと一緒にいるのが普通なの』

「別に、普通にしてる必要なくね？」

『なんで』

「俺らだって常にグループ化してるし、

実際、今クラス仕切ってる

サッカー部の連中は好きじゃないよ。

でもさ、無理してる方が疲れるじゃん。

だったら一人の方がマシだって

俺は思う。」

まさかこんなに真剣に答えてくれるとは

思ってなかったから、

正直驚いた。

『風磨には(人1)がいるから

そんなこと言えるんだよ』

嫌味っぽく言ってしまったと後悔したが、

君は私の予想とは違い、

「まあな。笑」

照れくさそうに笑っていた。

またしても、私は考えてはいけないことを

考えてしまった。

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あれから何日か経ち、

彼の言葉があったからなのか、

私はあまり周りを気にしなくなった。

その吹っ切れた姿を見た友達は

話しかけやすくなったと

なぜか喜んでいた。

２時間目の授業が終わると、

彼がスマホをいじっているのも気にせず、

私はまた彼のところへ行った。

「また病んでんの？」

『ううん。

ただ、この前のお礼が言いたくて。』

『ありがとね。

だいぶ楽になった。』

「よかったじゃん。」

彼はスマホの画面に目を向けたまま

興味無さそうに言った。

『…なんか今日冷たくない？』

「別に」

『…あっそ』

彼は画面を見て

嬉しそうに微笑んでいた。

「そういえば、

最近お前が笑ってるの

よく見る気がする」

『……えっ？』

ボーっとしていた私は

返答が遅くなった。

すると、彼は私を見つめた。

『……なに？笑』

「笑ってる方がいいよ」

-キーンコーンカーンコーン

「ほら、さっさと席に戻れ」

彼に言われた言葉が

頭の中でループし続けて、

なかなか頭から離れないことに

気がついた私は、

彼の言葉に嬉しいと思ったことを

初めて理解した。

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