あいつはあの子のもの −風磨−

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風磨side








先生｢HR始めるぞー｣




｢先生ー！

健人くんがいません！｣






通称 中島親衛隊

の女子たちがざわつく。






風磨｢あんなやつほっとけって。

どうせ飲み物でも買いに行ってんだろ｣






そう言って、中島の席を少し見たとき、




隣の席の荷物がなくなっていた。






中島の隣の席。


そう、あいつの席だ。






風磨｢そんなことより、(人2)は？｣




女子｢荷物もないし、帰ったんじゃない？｣








先生｢ちょ、菊池!!

どこ行くんだ!! HR始めるぞ!!｣






なんでだろう。




好きでもないし、彼女でもない

あいつのことばかりが

気になって仕方がない。






風磨｢ったく、なんで

中島と同じタイミングで

いなくなんだよ…!!｣






中島はタラシで有名なやつだ。




中島は俺の中学校の

となりの中学校に通ってて、

中学の時から有名だった。




朝、学校に来ると、

"昨日、健人くんと別れた"

そう言って泣いてる女子を

何人も見てきた。




女子たちに話を聞いてみると、

どうやら別れる理由は

毎回喧嘩ではなく、

"今までありがとう"

そう言って一方的に

中島の方から別れを告げられるらしい。




ちなみに、付き合った女子とは

ほぼ全員体の関係を持っている。




つまり、"ヤリ捨て"ってやつだ。








でも、一つだけ聞いたことがある。




中島が本気で好きになった女がいる。と。






噂では、体の関係を持とうとした中島が

彼女に断られたことをきっかけに

彼女と別れ、彼女が他の男とすぐに

付き合い出したのを知ってから、

中島も他の女と付き合うようになったらしい。






でもだからって、

その傷の埋め合わせに

あいつを利用しようとするなんて、

そんなの間違ってる。






あいつ、あんな派手な格好して、

気強そうに見えるけど、




ほんとはすごく繊細で、

素直になれない、

ただの意地っ張りなんだ。






風磨｢はぁ…はぁ…｣






走りながら下駄箱へと向かうと、






風磨｢……っ｣






あいつが、中島とキスしていた。

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