あいつはあの子のもの－風磨－ (ページ13)

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「なんかさぁ、他の女子とちょっと

しゃべってるだけで、すぐ

"○○ちゃんのこと好きなんでしょ？"

とか聞いてくんの」

『それは愛されてる証拠だよ』

「まじめにダルいんだよね。

"好きじゃないよ"って言うと

"嘘言わないで"って言われるし。

嘘ついたって俺

何のメリットもないのにさ、

なんで信じてくれないのって

思っちゃうわけよ。」

『…まぁ、しょうがないよね。

女子ってそういうもんだからさ』

「たまに思うんだよね。

なんでこんな低レベルなやつに

合わせてやってるんだろうって。」

『…』

思わず息を呑んだ。

まさか彼がそんなことを思っていただなんて

全く知らなかったし、

それに"低レベル"って…。

それはさずかに言い過ぎなんじゃ…。

「まぁ、大丈夫だよ。

別れたりしないから」

そう言って彼は幸せなのを見せつけるように

私に笑ってみせた。

『なんでそんなことわざわざ

私に言うの』

「だって、お前(人1)と仲いいから。」

あぁ、あたし(人1)に

仲いいって思われてたんだ。

ちょっと嬉しかった。

「あいつ前に言ってたよ。

"別れたいって思ってた時、

Aちゃんが励ましてくれた"って。」

"あたし、絶対(人1)の味方だから！"

そういえばそんなこと言ったことも

あったな。

すると、

「あ、Aちゃん！」

『(人1)！』

そこにいたのは、下駄箱で

彼を待っていた(人1)だった。

私たちは、合うやいなや

すぐに抱き合った。

「久々だねー！」

『ねー！』

「てか、Aちゃん援団やるんだってー？」

『なんで知ってんの？？』

「風磨がね、

Aちゃんダンス上手いって

褒めてたから。」

「は、褒めてねぇし」

さすがに二度目となると

不意をつかれることもなく

彼は無表情で言った。

「Aちゃん。風磨にいじめられたら

すぐあたしに言ってね！

そしたら風磨に飛び蹴りかますから！笑」

『おっけー笑』

「おっけーじゃねぇから」

「ほら、行くよ！

じゃあね、Aちゃん！」

"じゃあね"なんて(人1)につられて

手振っちゃったけど、

心の中じゃ、彼に近づく度に襲う

苦しさを押し殺すのに必死だった。

二人の後ろ姿が見えなくなるまで

私は手を振り続けた。

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