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『……っ』
どうやら、
少し調子に乗りすぎていたみたい。
秘密を守りきれなければ
いつか終わってしまうだなんて、
そんなことわかりきっていたはずなのに、
まだ この状況を理解できていない
自分がいる。
驚いているからじゃない。
苦しすぎて、
涙さえも出てこない。
気を抜けば 息をするのも
忘れてしまいそうなほどだ。
『……』
でも、画面の向こう側には
泣いている彼がいる。
"嫌だ" なんてわがままを
言えるわけがなかった。
彼を思えば思うほど
苦しくなる。
彼を思えば思うほど、
自分の気持ちを抑えたくなる。
きっと、あの時の彼も
同じような気持ちだったんだろうか。
私に気を使って、
無理に私に合わせていたのかな。
｢……っ｣
会話もなく、
ただ時間だけが過ぎていく。
『……っ。
…風磨……』
風磨｢…なに？｣
『もう、無理しなくていいよ…』
だって、彼の "大丈夫" が
大嫌いだから。
もうこれ以上、
誰も傷つけたくないから。
『……最後に、一つだけ
わがまま言ってもいい…？』
風磨｢…いいよ……｣
『……なかったことには
しないでほしい…。
私と一緒にいた時間を、
忘れないで……』
風磨｢……A…っ｣
『今までありがとう』
そう告げて、私の方から
電話を切った。
夏休みは ほとんど毎日
一緒にいて、
週一のペースで
いろんなところに行って。
学校が始まってからも、
休みの日は一緒にいて。
……そばにい過ぎたのかな…。
思い出を振り返るように、
携帯に保存されている写真を
一枚一枚ゆっくりと見ていく。
あれだけ自己中で気分屋な彼と
こんなにもわがままな私だけど、
一度も喧嘩したことはなかった。
いつだって、笑っていた。
どんなことでも笑い話にできた。
『……っ。』
今更 涙が止めどなく溢れ出てくる。
彼の前で素直に泣けたら、
少しは変わったのだろうか。
彼はまた私に同情してくれただろうか。
彼から貰った
"ありがとう"や"大好き"を
色褪せないうちに思い出にしておきたくて、
一枚一枚、ゆっくりと
写真を消していった。
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抹茶もち \ ♪♪ /(プロフ) - わぁぁぁぁ、めっちゃいいお話ですね 感動して泣きましたヽ(；▽；)ノ紫月さんのお話大好きです!! (2016年3月22日 13時) (
レス) id: f516db3a4f (このIDを非表示/違反報告)
xLuvx(プロフ) - 移行おめでとうございます！！これからも無理せず更新頑張って下さい！！ (2015年6月14日 23時) (レス) id: aebc61ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫月華恋 | 作成日時：2015年6月14日 22時
