63 ページ13
.
そんなの、知ってる。
分かってる。
私は私で、頑張るんだから。
だって先輩は、
私と一緒に出掛けてくれるようになった。
私の前では格好つけたりしないで、
弱い部分だって見せてくれる。
いい後輩だって、
面白いヤツだって、
そう言ってくれる。
一緒に、笑ってくれる。
A「八乙女先輩！」
私の声に驚いて体を揺らして、
ようやく先輩は此方を振り向いた。
動揺したまま、視線を泳がせて、
そして何かを誤魔化すように笑った。
光「あ…悪ぃ。いきなり過ぎて…びっくりした。」
A「…どうしたんですか？」
嫌なヤツ。
知ってるくせに。
分かってるくせに。
何も知らない振りをして。
何も気付いてない振りをして。
光「今、歩いてた人。前の……彼女。」
今まで通りで良かった。
その中で起きる、些細な変化に胸を躍らせた。
先輩と一緒にいられることが、
ただ嬉しかった。
小さな幸せを噛みしめながら、
これからの私たちを想像した。
だけど。
分かっている振りをしていても、
理解のある後輩の振りをしていても、
それが真実になるわけじゃない。
現実を目の当たりにして、
思った以上に実感させられる。
時間が経っても、
どれだけ一緒に過ごしても。
先輩の好きな人は、
今も変わらず彼の心の中にいるのだ、と。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：環
| 作成日時：2019年7月17日 22時
