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こんなときまで感じられる、
大貴を好きなはずの私への優しさが痛い。
侑李を好きな私には、喜ぶことのできない優しさだった。
A「大貴は何もしてないよ。何も、悪くない。」
そう、悪いのは私だ。
心変わりしてしまった、私。
大貴を好きなままではいられなかった、私。
大貴「いや、でも……、」
大貴は、躊躇うように視線を一瞬揺らがせた。
私にはそんな仕草を大貴がする意味が分からなかった。
けれど、一度逸らされた視線は、再度真っ直ぐに私を見つめる。
冷たい風が、シャワーで熱気を帯びていた私の身体を通り抜けた。
大貴「俺がさ、Aのこと好きだったとか言ったのがまずかったのかもと思って…、」
そのせいか、私の思考回路は妙に澄み切っていて。
A「――、え？」
空っぽな頭の中に大貴の声が反響する。
あまりにクリアすぎて、
その言葉の意味をとることが出来なかった。
A「…誰が、何て？」
喧騒が遠のいていく。
今日は私へのドッキリでも仕掛けられているのだろうか。
大貴「……俺が、Aのこと。好きだった、って。」
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作者名：環
| 作成日時：2019年2月23日 10時
