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溢れ出していた涙は止まることなく、
私の頬を濡らした。
「また、失恋……か、」
落ちてくる呟きは、自虐的なものばかり。
闇に溶け込んだ部屋の中、
吐息が妙に熱くて、濡れた枕は妙に冷たかった。
「馬鹿みたい。」
本当に、馬鹿みたいだ。
叶わない恋をしたのは２回目。
大貴を好きになって、
それから侑李を好きになった。
まさか自分がそんなにも移り気な人間だとは思わなかった。
でも、気付いていた。
思い返せば思い返すほど、私が侑李を好きにならない理由なんてなかったから。
付き合い始めてからずっと、大貴ならこんなシチュエーションでどうするのだろう、と。
何度もそう思った。
侑李のような振る舞いをするのか、
そうではないのか、と。
けれどそれは決して、侑李に不満があったからではなくて。
むしろ、そんな侑李に心をときめかせないように、と必死で大貴へと想いと巡らせていた。
そう。
最初から、きっと私には無理だった。
侑李を好きにならないだなんて、
土台無理な話だったんだ。
「……言い訳がましい。」
どうして人は、
一人の人を想っていられないのだろう。
心変わりなんて、
醜いことをしてしまうのだろう。
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作者名：環
| 作成日時：2019年2月23日 10時
