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侑李「…流石の僕でもこれは簡単にはいどうぞ、とはいかないよ。」
A「あはは、ですよねー？」
勿論、本当に買ってもらえると思って言ったわけではなくて、
考えていたことを悟られまいと、その場凌ぎに提供した話題のひとつ。
呆れたような侑李の表情を軽く流して、私も肩を竦めて見せた。
ただ、心の中でクリスマスを一緒に過ごすことを拒否されなくて良かった、だなんて思ってしまっただけで。
そんな私は、なんて滑稽なんだろう。
侑李「大体Aは物じゃなくて、内定を願っときなよ。」
A「えー、だって侑李に内定願ったって、ねえ？」
侑李「へえ？どの口がそう言うこと言えるわけ。」
そう言って侑李は、片眉をぴくりと持ち上げて私の肩に腕を回した。
ごく、自然な動作で。
おそらく、侑李には全くもって他意のないことだった。
きっと私以外の誰にも、同じことをするのだろう。
侑李の声を存分に、意地悪く響かせる時の、お決まりの仕草だったに違いない。
けれど、
A「―――、」
私にとっては、
その温もりは初めてのものだったわけで。
回された肩の重みは初めてのものだったわけで。
侑李の顔をこんなに間近で見たのも
初めてだったわけで。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
