フェイクラバーズ②…Yuri.C (ページ33)

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「ご参列の皆様、ただいまより披露宴会場に移動して頂きますので、どうぞこちらへ！」

一通り撮影タイムを終えると、式場の人が声を張り上げて言う。

指示に従いながら人波に着いて行こうとすると、
私たちを呼び止める声が聞こえた。

「侑李！」

いや、正確には私たちではなくて、
私の隣にいた侑李、を。

ただ私は当然のように侑李と一緒に立ち止まって
声の主を振り返ってしまった。

その先からドレスを翻して
足早に此方に向かってきたのは、本日の主役。

侑李「なに、どうしたの。」

真っ白なドレスが眩しい。

今しがた交換したばかりの指輪を薬指に光らせた花嫁は、私たちの前で麗しく微笑んだ。

「これ、あげようと思って。」

侑李「は？」

そうして店長が差し出したのは、
シンプルに纏められた綺麗な花束だった。

侑李「……ブーケ？」

眉間に皺を寄せた侑李が問う。

流石に、疑問符をそこに付属して。

確かに、侑李がブーケを手渡される意味が分からない。

そういえば結婚式の恒例行事であるはずのブーケトスとやらがなかったな、と今更のように思う。

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