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この展開についていけないのは、他の誰でもない。
私自身だった。
侑李が、好き？
何度も自分に問いかけた。
まさか。
いつの間に。
だってこの間まで私は、
大貴が好きだったじゃないか。
侑李「遅い。寒い。」
A「……ごめん。」
いつものようにバイト上がりの私を待っていた侑李が口を尖らせた。
風が冷たくなってきたせいか、
その鼻先が少し赤くなっている。
侑李「ほら、早く行こ。」
A「え、あ、」
そう言って、侑李は身を震わせたかと思うと
私の手を取って歩きだした。
侑李「うわ、手冷た。なんでさっきまで室内にいた人の方が冷たいわけ。信じらんない。」
眉を顰めて言いながら、足早に帰路を進む。
でも、私は知っていた。
眉を顰めて文句を言っても、
手を離さないこと。
足早に歩いていても、
私がついて行ける速度以上にはならないこと。
A「…………。」
また顔が、熱くなる。
私は侑李の優しさを知っていた。
それはきっと、彼と長く時を共にしないと気付かないような、不器用なものだった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
