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侑李「何か悩みでもあるわけ？」
悩みはある、けれど。
口に出すには、ひどく難しい悩み。
何故なら、
私にもその答えが見えないから。
いや、悩み自体が見えない。
その悩みがなんだか分かってしまうことの方が、
むしろ問題な気がした。
A「……、就職、」
侑李「え？」
A「就職先…、どうしようかと、思って。」
苦し紛れに口にしたのは、もっともらしい悩み。
大学3年生なら、
誰しもが多少なりとも悩んでいること。
時期的にも本格的に就活が始まる日折、
それは自分の気持ちに悩んでいるというものよりも、本来私の在るべき姿に近しい。
侑李も私を見やってから、
納得したように肩を竦めた。
どうやら、私の応対は正しかったようだ。
侑李「ああ、何。どこ行きたいか迷ってる？」
A「……大体は決めてるつもり…だったんだけど。
いざどこにしようかと思ったらちょっと、ね。」
実際、それは考えるべきところだった。
A「何て言うか…今更かもしれないけど、どうやって選んだらいいかも正直分からないし。」
どこも良いような気もするし、
どこも変わらないような気もしていた。
企業の違いなんて、業種の違いとか、
そんなものくらいにしか分からない。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
