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「…侑李？」
大学の正門付近に寄り掛かって、
何処か遠くを見ている。
学生が幾人もちらちらと彼を見やっているのに、
それには全く目もくれない。
いつの間にか、そういう侑李の姿は私にとって日常の光景にすらなっていた。
でも、今日は見ることのない光景だったはずで。
侑李「ああ、A。」
A「…どうしたの？」
間もなく私に気がついた侑李は控え目に手を持ち上げた。
私はそんな彼に早足で近寄って問う。
フットサルに行くのではなかったのか、と。
侑李「……うん、ちょっと、ね。」
A「……？」
すると、侑李は曖昧に口の端を持ち上げた。
見たことの無い、珍しい表情。
それに、
自分の予定より私を優先させることも珍しい。
突如飛び込んできた事項であれば、今回のようなフットサルやゲームの遊びより、私を優先させるけれど、
学業だったり、以前から予定していたりすることであれば構わず私を放る。
それが侑李のスタンスだった。
自分のやるべき事を優先するのは当たり前でしょ、と以前、彼は笑って言った。
それなのに。
今日は以前から予定していたことであるにも関わらず、私の目の前に現れた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年11月3日 16時
