フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ27)

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大貴「A！」

A「っ！」

帰ろうとしていた私を呼び止めたのは、
集団の中心から声を張り上げた大貴だ。

その輪の中から侑李が事もなげに此方を見やった。

片手を上げている大貴の様子からして、
こっちに来い、ということだろうか。

周囲にいた他の面々もそれが当然かのように此方を見つめたまま。

A「……、」

大貴にしてみれば、
気を利かせたつもりなのだろう。

私は観念して、方向転換をした。

A「随分と、お世話になりました。」

侑李「うん。」

そうして侑李に向けて頭を下げて見せれば、
やっぱりそれは気のない返事。

まあ侑李から、わざわざどうもすみませんありがとうございます、なんて言葉が返ってくることはないことくらい、分かっている。

ただ、他の方々に向けた挨拶には相応の言葉が返ってきましたが。
…まあ、それはよしとしよう。

それよりも、何故だか少し侑李の様子がおかしい気がする。

なんとなく無愛想、というか、素っ気ない。

それが悪いとは言わないけれど――、
彼氏彼女であるならば言うべきなのか。

一体何があったのか、と、
申し訳程度に考えてみたところで、答えは出た。

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