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二人が交わす言葉もなくなったことで、不安は増すばかり。
伊野尾君も段々トーンが低くなって、
これは本当に、
まずいかもしれない。
涼介「おまえが勝手にやってることだろ。
押しつけんじゃねーよ、鬱陶しいわ。」
慧「勝手なのはどっちだよ。
もっと空気読めよ、ガキ。」
ひやりと、背筋に寒気が抜けた。
そんな台詞、
あいつが大人しく聞き入れるわけがない。
不機嫌な目をさらにじわりと細めた顔で、
あいつは机を蹴飛ばして伊野尾君に詰め寄った。
そんなあいつを見て、私は咄嗟に伊野尾君の背に駆け寄って、間に入ろうとした。
だけど、それより先にあいつの手は伊野尾君のシャツに掴みかかった。
止めようとした私の声が届く前に、
あいつの手は伊野尾君の顔目がけて襲いかかって、二人は机を押しのけながらもめる。
教室に残っていた少ない女生徒から小さな悲鳴が飛んで、静寂と喧騒が凝縮された教室に空気が張り詰めた。
A「ちょっ、やめなよ、ねぇ、伊野尾君！」
血相変えて掴み殴り合う二人にはもう誰の声も届かなくて、伊野尾君も普段の優しさなんて消えてしまっていた。
どうしてこんなことになってしまったのか。
周りの男子も止めようとするが、
二人が本気過ぎて誰も止められないまま。
二人の手が、相手目掛けて痛く飛び交った。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
