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ザーザーと雨が地面を強く叩き、
グラウンドの土も波打って、
広い敷地が寂しい毎日が続く。
それでも生徒たちは同じように沈むことはなく、
直に迎える学期末考査と夏休み前の球技大会に向けて明るく学校を賑わせていた。
傘の雫を払って、傘立てに収め、靴を履き替えると、後ろから髪を濡らした伊野尾君がおはよー、と寄ってくる。
どうしてまともに傘がさせないのか、と聞くと、
水も滴るイイ男だから、と意味の分からない答えが返ってきた。
伊野尾君とは普通に話が出来ている。
それは全部彼が、
気を負わせない対応をしてくれているおかげだ。
そもそもアレが本気だったのかどうかも怪しいけれど。
慧「Aは球技大会、どっち出んの？」
A「…バレー、かなぁ。バスケは完全に足手まといだと思う。」
慧「へえ？バレーは出来んの？」
A「いや、バスケよりはマシかなってだけ。」
慧「はは、なぁーんだ。
俺サッカーとバスケ〜。」
A「え、二つも出るの？」
慧「じゃんけん負けたからー。
うちのクラス、運動音痴しかいねーのに不利じゃね？あ、Aがそーだとは言ってないよ？」
A「そんなの私も言ってないから。」
小さなざわめきくらいなら雨に吸収されてしまう廊下に、伊野尾君の特徴的な笑い声は淀まずに響いた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
