メルトサマー②…Ryosuke.Y... (ページ23)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:152,374 hit

72 ページ23

「A？何してんの？」

「お昼。持ってきたー。」

「おー、ナイス！」

階段を下りきってグラウンドを囲むフェンスの近くまで行くと、ちょうど休憩になったらしい野球部の中から、兄が目敏く私を見つけて寄ってきてくれた。

良かった。

この中から兄を探し出し、呼び出す労力が省けた。

ぐるりとフェンスを回ってきて私からお弁当を受け取る兄はさすがに真っ黒で、

サンキュー、と私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる手は泥塗れで急いで手を跳ね除けた。

私が寮制の学校に行ってしまった為、
会うのは大型の休みだけになり、兄の中で私は小学生くらいから成長が止まっているらしかった。

「…野球部強いの？」

「県内じゃまぁまぁ？」

「ふーん。敷地広いね」

「そーかぁ？普通だよ。
おまえんとこはサッカーの学校だからそっちは特別だろ。野球部なんてあんの？」

「あるよ、一応。強くないらしいけど。
ここサッカー部あるの？」

「そりゃあるわ。あっち第二グラウンドあるからそっちにいる。」

「へー。」

やっぱり普通の学校はどの部活動も平等だ。

こうして別の学校を見ていると、いかにうちの学校がサッカー部を特別扱いしているかがよく分かる。

.