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隣で私を見下ろす伊野尾君の、
背丈の割りに可愛い子犬のような垂れ目がそこにあった。
慧「山田。どこが好きだったの？」
A「……え、なん、で、」
慧「翼ちゃんには言わねーの？なんで？」
A「………え、………」
吃驚した。
急に、でも余りにも自然に話を変えてくるから、
聞き間違いかと思った。
でもそのことを知っている人はいくらでもいるから、それを伊野尾君が知っていても不思議ではない。
A「…えーと、まず、翼には言いそびれただけで、隠してるわけじゃない。
言わなきゃ、って思ってるし。」
慧「まーね、言ったほうがいいね。
もし翼ちゃんがA以外の口から知ったら相当ショックだと思うよ。」
A「うん、だよね。分かってる。」
やっぱり、そうだよね。
話す機会はいくらでもあった。
ただ、あのことは私の中で、
もう消してしまいたいことだから。
もう口に出したくもないことだから。
忘れてしまいたいことだから。
話さなくていいなら、話したくはない。
慧「まぁそれはそれとして。
で、Aは山田のどこが好きだったわけ？」
A「どこ、って、言われても…。」
慧「告ったのってどっち？山田？」
A「………。」
告白………？
なんて、ありましたっけ………？
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
