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「戻ったぞ」
「…おかえり」
戻りながら立花の変装をといていた鉢屋は
声をかけたうちの二人のうち一人の膨れっ面を見て
驚く
「…どうした兵助?ちょっとやつれたか?」
「八左ヱ門が…
何度も何度も止めてるのに
Aにちょっかい出そうとするんだよ…!!!
無理矢理起こすの可哀想だろ
だから止めてるのに…こいつはっ…!!!」
久々知は座ってただでさえ猫背になっている背中をさらに丸めては竹谷の方をギロリと睨む
鉢屋がいなくなってからも竹谷は何度も何度もAに触れたいという欲求が止まらずに行動に移してはそれを久々知が何度も何度もその腕を打ち落とすという攻防戦が続いていたのだ
竹谷は楽しんでいるが久々知からすれば疲労が溜まる一方だったため、こんな不平そうな顔にもなってしまうのだろう
「ご…ごめんって兵助〜!!そう怒るなよっ!!!
Aが可愛くてついっていうか…!
こう…無意識的に…?えへへ…」
「タチの悪い無意識だよっ!!!お前のはっ!!」
久々知には悪いとは思っているものの『これが恋煩いというやつだ許せ!』と言うように竹谷は幸せそうに言い訳を述べるが
もちろん久々知はそれに納得するわけがなく
竹谷の緩みまくっている頬を引っ張った
鉢屋は『こいつ…相変わらずだな…』と
どっちかというと久々知の苦労に肩入れをして
竹谷を引いた目で見ては
それでも次の作戦のために久々知をうまく取りまとめようとする
「はぁぁぁぁ…もうわかったわかった…
こっちは上手くやったから
後はお前らがなんとかする番だぞ」
「お!出番か!!!!やるぞ〜!!」
「先輩方には悪いけど…
今溜まった分、憂さ晴らしさせて貰おうかな?」
久々知と竹谷はこの言葉でやる気を出し
手を鳴らしながら鉢屋の横を通り過ぎていく
鉢屋はそんな二人を振り返って言うのではなく
背を向けたまま「頼んだぞ二人とも」と二人には聞こえないように言葉を紡いだ
そうして鉢屋は今度こそようやくできた僅かな休息時間に少しホッとし
Aの隣へと腰を下ろしてはAの顔を覗きこんで見てみる
「人の気も知らないで…
さっさと起きろよな
そんなに寝てると心配になるだろ…バカ女」
鉢屋も先ほどの竹谷と同じようにAのほっぺに指をツンツンと少し突き刺しては
起きないAの頭を自分の肩へと起こさないようにそっと優しく移すのだった
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えびてん(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさんまたコメントしていただき本当にありがとうございます!✨不破くんの心理描写はどう書いたらいいのか悩んだところだったので、読み取ってくださる方がいて本当に嬉しいです…!頑張ります!ツンデレサブロー「オマエホントキライ(ノハンタイ)」 (5月18日 23時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - 雷蔵の複雑な心理描写がすごく上手です!自分も自分の友達も主人公のことが好きででも僕はその気持ちに気づいていない、気づいていない振りをして感じがして、あぁ……ってなりました!これからも頑張ってください!ツンデレサブチャンカワイイネ! (5月18日 18時) (レス) @page45 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
のんさん(プロフ) - えびてんさん» www面白い (2023年1月8日 0時) (レス) @page49 id: fe8741111e (このIDを非表示/違反報告)
えびてん(プロフ) - のんさんさん» とても面白いお母さんにしてる笑 (2023年1月7日 21時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
のんさん(プロフ) - wwwwお母さんww 好きだww (2023年1月7日 20時) (レス) @page49 id: fe8741111e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えびてん | 作成日時:2022年10月19日 21時