私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？参っ！【RKRN】

2 ページ2

自惚れていると言われるかもしれないけれど
彼が私を酷く心配している姿は保健室にいる時点でなんとなく想像できた
目が覚めてから三郎次くんが泣き出す前に
【一番最初に】彼のこの様子を想像してしまった

なんで彼だったんだろう
今思い返してもわからない

そのことを彼に強く抱きしめられている時に思い出した

私が「心配させてごめんなさい」と言えば
彼は「謝るなってお前が一番頑張ったんだからさ！！」と笑ってくれる




うん


やっぱり彼には明るい笑顔でいてほしい

心配かけたのは自分だけれど
その笑顔を見て安心できる



ふと、視線を向けたその時
彼のあるものが気になってしまった


「…！その手…！！」

「えっ？手がどうかしたか？」


私は勝手に彼の手を掴んで
手のひらを見る

そこには沢山のマメができており
所々皮が酷く剥れていた
それに強く持っていたのか
まだ縄の跡が消えていない


「…これもしかして縄で…？」


そんなこと見ただけでわかるし
聞くまでもないのに

ここまで酷くなるほど彼に縄を【持たせた】のは
『自分だと』
それに直面することが怖くて聞いてしまう

これは「あ〜…」と言い頬をボリボリとかき
気まずそうな顔をした後
誤魔化すようにヘラヘラする


「大したことないって！
少なくとも誰かさんよりかは？」

「でもっ…！」



『こんな痛い思いまで貴方がする必要ないのに』



そんな言葉が喉元まで来てるのに
それを言葉にできない

私はただ涙が出そうになるのを堪えるために
下を向いて唇を噛み締める


「A…？A」と彼は私の名前を不安そうに呼んでくれる
もうこれ以上心配なんかさせたくないのに
彼の顔を見れない

またこんな顔見せたら
もっと心配かけちゃう
したくないよそんなこと



だから私は頑なに彼の呼び声に応えない
そんな私を見透かして
「わかってる」というように彼は私の手の上に自分の手を重ねる





「命懸けで助けたいし守りたいって思うだろ」



彼の言葉に引き寄せられるように
私は顔をあげてしまう








「だって」











「Aは俺の好きな人だから」



我慢していたはずの涙が頬をつたって
重ねられた手を濡らす




知ってるよ
それが理由で貴方がこうして傷ついたことだって知ってるの


それが辛いの悲しいの





でも、ごめんなさい



そんな辛さよりも
今日はその言葉で酷く喜びで
この心満たされてしまいます


だからもう少しだけ




このまま泣かせてください

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す