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「おかえり!」
「えっ、?な、何で?」
鳩が豆鉄砲を食らった。
そんな表情で部屋の扉を開けた恋人に、愛しさが爆発しそうだ。
「明日、じゃないの?」
「驚かせたくて1日早く帰ってきちゃった」
ほら、俺の胸に飛び込んでおいで!
両手を広げて満面の笑みで待つも、恋人は未だに鳩のまま固まっている。
「…ガヤさん?大丈夫?」
「っ、ご、ごめん、ちょっと、無理そう」
そう言うと、力が抜けたようにしゃがみ込んでしまった。
「え?具合悪い?!熱でもある?水持ってくるね」
グイッ
「うおっ、」
ドスン!
急に右腕を引っ張られたせいで、尻餅をついてしまった。
俺の動きを止めた恋人の方を見ると、震える手で俺の頰に触れてきた。
「会いたかった…っ」
そして綺麗に落ちていく涙に、俺は力一杯抱き寄せることしかできなかった。
「俺も、会いたかった」
「玉森、おかえり、」
グスッ、と涙交じりに俺の腕の中で震える恋人に啄むような口付けを交わした。
「ん…、っ」
「がや、さん、」
呼吸の合間にそう呼ぶと、ちら、と眼鏡越しに俺の瞳を見つめて、小さく口を開いた。
「それじゃなくて…名前で、呼んで欲しい」
1枚。
また1枚。
理性なんてもう欠片も残っていないけれど、ゆっくりと服を脱がしあって、キスをしながら、久しぶりに2人でベットに沈んだ。
「太輔…」
目の端に溜まっている涙を舐めると、俺の下でまた身をよじった。
「ゆう、た、」
俺の背中にぎゅ、っと爪を立ててくるその痛みさえも愛しい。
1年間会えなかった胸の痛みに比べたら、もうどんな痛みでも我慢できる。
手放そうとする意識の中で柔らかく笑う太輔に、俺は、おやすみ、と声を掛けた。
_____
「…帰って来たら更に惚気が凄いんすけど」
サプライズ帰国してからも会社から1週間の休暇を与えられていたので、北山を誘い、1年ぶりに飲みに来ていた。
1年前と同じように、死んだ目で俺を見ながら唐揚げを頬張る北山は面倒臭そうに相槌を打っていた。
「で?その指輪は何すか?女避け?」
「ちっげえよ、馬鹿!」
キラリ、と輝く左手の薬指。
半ば勢いでニューヨークの宝石店に入り、指輪をオーダーメイドで注文した。
眠りについた、というよりかは俺が抱き潰して意識を失ってしまったガヤさんの指に嵌めた。
恋人が目を覚ましてからの話は、また違う日にでも話すことにしよう。
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←遠かった春
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たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時