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ーーー誰にでも触らせるところ。
「みーつっ」
「うおっ、びっくりした、急に飛び付くなよ」
「今日もミツはちっちゃいねぇ」
ぐりぐり、と頭を撫でてくる隣の玉森にうるさい、と睨み返しても、玉森は俺から離れないままだった。
「ちょっと通して欲しいんだけど」
後ろの不機嫌そうな声に振り向くと、そこにいたのは藤ヶ谷で、ごめんねーと俺から離れた玉森と俺の間を足早に去っていく。
ごめん、わざと。
わざと、妬いて欲しくてやってる。
ーーーいっしょに寝ると布団奪ってくところ。
「寒い…」
夜になるとまだ冷え込む季節。
布団を一人占めされた藤ヶ谷が寒さで目を覚ましたらしく、隣から声が聞こえた。
「もう…」
俺から布団を奪うのを諦めて、藤ヶ谷は俺に後ろから抱き付いてきた。
心臓の音が藤ヶ谷にバレないか、俺はいつも不安になる。
_______
全部、藤ヶ谷が好きでわざとやっている行為を、ドンピシャで当てられて、俺は羞恥心に駈られた。
きっと無自覚なのだろう。
無自覚だからこそ、たちが悪い。
「北山ーっ?」
びくっ、と声に驚くと、俺を見つけて藤ヶ谷は急いで近付いて来た。
「怒ってる、よね…?」
「…怒ってねえよ」
「ほんと?」
ちょん、と俺のシャツの裾をつまみながら目を覗き込んでくる藤ヶ谷に、ドキドキしてしまう。
「…さっき、嫌いって言ったのは、好きの裏返しって言うか。
北山がちゃんと起きるまで本当はもっと一緒にベットにいたいけど、仕事遅れちゃうから。
それに喧嘩してベットに逃げて丸まってるところ、めちゃめちゃ可愛くて何でも許しちゃうし。
いつも滅多に自分からキスしてくれないのに、酔っ払うとたくさんキスしてくれて、嬉しいよ。酒臭いのは嫌だけど。
髪乾かさなくても、俺が髪乾かしてあげるから別に良いんだけどさ。
誰にでも触らせるところは本当に止めてほしい。嫉妬で頭おかしくなりそう。
それに一緒で寝てて布団奪われても、北山あったかいから別にそんなに困ってない」
「ほんっと…嫌い…お前…」
「ええっ?やっぱり怒ってるじゃん!」
ごめんね!、と再び謝ってくる藤ヶ谷に、俺は再び目眩がするようだった。
無自覚なんかじゃない。
コイツ、俺の思惑を全部知っててやってやがる…
「…俺の好きなところ今すぐに言え。そしたら許す」
そう言って睨んでも、藤ヶ谷は優しい笑顔のまま俺の頬を撫でた。
「俺のことが好きなところ」
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たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時