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藤ヶ谷から逃げるように廊下に出ると、俺は恥ずかしさで目眩がするようだった。
あの天然野郎…
内心悪態をつきながら、先程言われたことを思い浮かべた。
ーーー寝起きの機嫌が悪いところ。
「おはよ、北山、朝だよ」
心地良い低音の声と、俺の髪を撫でる手つきに、俺は夢の世界から覚めていく。
「ん…」
「朝ごはん、パン?ご飯?」
「ご飯…」
分かった、と言って俺の瞼にキスを落として去って行くその後ろ姿。もう少しだけ一緒にいたかったな、と俺は勝手に不機嫌になる。
ーーー喧嘩するとすぐベットで丸まってるところ。
「勝手にしろよっ」
「はあ?なにその態度、いい加減にしろ」
藤ヶ谷の声も顔も聞きたくなくて、寝室に逃げ込んで、布団の中に逃げ込んだ。
ぎゅっ、と毛布にくるまると、藤ヶ谷の甘い良い匂いでいっぱいになって、どうしようもなく泣きたくなる。
あー、何で俺、あんなこと言っちゃったんだろう。
そうこうしてると、布団ごと俺を抱き締めてくるから、俺はまた今日も自分からごめんを言えなかった。
ーーー酔っ払うとキス摩になるところ。
あ、キスしたいな。
アルコールが回った体には、そのぽてっとした唇はやたらと美味しそうに見えて勢い任せに藤ヶ谷に抱きつく。
「んっ…酒臭いんだけど」
「ふへっ、んふ。藤ヶ谷。もっとチューしよぉ」
はいはい、と観念した様子でキスを繰り返す藤ヶ谷に、俺はいつも嬉しくなる。
ーーー何回言っても髪乾かさないところ。
「北山、髪乾かしなよ」
「んー」
「風邪引くって言ってるじゃん」
「後で乾かすって」
もう、と呆れながらも洗面所からドライヤーを持ってきてソファに座った藤ヶ谷は、俺を呼んだ。
「はい、ここ来て」
言われた通り藤ヶ谷の膝の間に収まると、優しい手つきで俺の髪を乾かし始めた。
「もうっ、本当に何回言っても直らないんだから」
だって、藤ヶ谷に乾かして欲しいから。
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たいちゃんらぶ(プロフ) - ・・にジーン( ;∀;)あぁぁぁ‥好きです・・ゆびわに気づいたたいぴ・・いつか!!!待ってます(*´σー`)エヘヘ (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!っと愛おしいし‥会社のエースなのにガヤさんと離れるのやだー(´;ω;`)と潰れるガヤさんにゾッコン(←)な玉ちゃんが大好きです♪サプライズに鳩になるたいぴ可愛い♪俺の胸に飛び込んでおいで!って本気な玉ちゃんにwwやっと絞り出したおかえり (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遠かった春・・( *´艸`)私‥夜布団の中で目が覚めた時更新チェック・・ついしちゃうんですが‥「春」シリーズだ!!! と思うとどんなに眠くっても起きて見ちゃう(`・ω・´)ゞきたやまくんの言葉に真っ赤になっちゃうガヤさんはホント可愛いし‥玉北ちゃんの飲み会は (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 君が壊れる日・・いつもは光の中に身を置いているようなみっくん・・だからこその抱える闇なのかも(´;ω;`)ウッ…なんて思ってしまいました。でもそれを見逃さないたいぴが隣にいるなら…涙。ふえーん( ;∀;)… (2018年11月17日 19時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 北斗さん» コメントありがとうございます! 春シリーズ好評頂けて嬉しいです( ;∀;)! この2人と北山さんことはこれからも書いていこうと思っております!また是非読んで頂ければ嬉しいです! (2018年11月16日 1時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年9月14日 22時