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「はい、お疲れさん、乾杯」
「ううっ゛、乾杯…!!」




給料日前。そして水曜日。
何でこんな条件の悪い日に同僚の失恋(?)に付き合わなければならないのか。

若干面倒くさい気持ちもありつつも、後に引く方がもっと面倒なことになると考え、奢って貰う事を約束にいつもより人が少ない馴染みの居酒屋で腰を下ろした。




「はあ…玉森って、あいつって、あいつって、ソッチなんじゃねえのかよ…」





嘆きの言葉を右から左へ流しながら、枝豆を食べていると、河合がそんなことをぼやいた。

ん?ソッチ?







「そっち、って何が?」
「……だから、男が好き、って事。ずっと前からネットの掲示板じゃ有名な話だよ…」
「え、そうなの?」
「そう……何か、噂だと玉森のスタイリストが超イケメンで、そいつと付き合ってるとか、何とか……」








河合の言葉が急に俺の中に鮮明に残った。
まさかな、とは思うけれど、枝豆を掴む指が震える。

そんな俺の様子に気付くことのない河合は、酔っ払いながらもスマホを操作して、俺に渡してきた。






「ほら、見ろよ。玉森ファンが大荒れしてる」








渡されたスマホを恐る恐る見ると、河合がツイッターで検索したらしいタイムラインが表示されていて、『玉森 恋人』と検索されて出てきた画面には、ファンの嘆きの声が投稿されていた。





『玉森くん……そうだよね、恋人くらいいるよね…』
『ねえ、玉森くんの恋人なんて嘘だと言って……!』





悲痛に満ちたつぶやきをスクロールしていると、俺はある投稿を見て息を止めた。






『ガヤさんは?ねえ玉森くんの恋人はガヤさんでしょ?!』






「は……?」
「わー!おい!スマホ!!落とすなよ!」






手からスマホが滑り落ちて行くことにも気付かず、河合が急いで拾いながら文句を口にしてきた。

その文句も耳に入らないくらい、心臓の音がうるさくて、その名前を数年ぶりに目にしただけなのに自分が掻き回されるのが辛かった。








「おい!……って、北山?大丈夫かよ、顔色悪いぞ」








河合は沈黙を貫く俺を覗き込んできた。

今自分がどんな顔をしているのかも分からないし、どんな表情でどんな返事をすれば良いのか分からない。

俺の様子に只ならぬ気配を感じたのか、河合はすぐに会計を済ませて、タクシーまで呼んでくれた。

・→←それなら吐き出してしまえば



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(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!高嶺の花シリーズ、書き始めた当初は短編で終わる予定だったんですがそう言って頂けて嬉しいです(*^^*) 誕生日の後日談は下書きに眠っているのでもうすこし書き加えたら出しますね〜! (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふじみつさん» コメントありがとうございます!お返事すっかり遅くなってすみません。゚(゚^ω^゚)゚。!魔法使いさんシリーズに探偵シリーズに…この前更新したのはいつだっけ…という作品ばかりでお待たせしてすみません!いつか書きます!笑き (2019年9月26日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんにちは、魚さんの作品いつも更新楽しみにしてます!個人的に高嶺の花シリーズがとても好きで、なん度も読み返してます。北山くんの誕生日の件の続きがとても気になります、、、ぜひ見たいです^ ^ (2019年9月26日 10時) (レス) id: 1e2dbff765 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんにちは。みっくんのお誕生日になんて素敵な物語!ありがとうございます。私「春」がとても好きで、教師さんも、バーテンさんも、探偵さん、魔法使いも〜〜!完結したばかりですが、色々続き待っていても良いですか? (2019年9月19日 11時) (レス) id: a043f1bcd7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぴこさん» コメントありがとうございます!わー!先生パロのお話も読んで頂けたとは…( ;∀;)!嬉しいです、あの2人のお話もまた書きたいなと思っていたのでやる気が出てきました笑 リアルな2人の関係性はこんな感じかな、と思い甘めな設定で書かせて頂きました(*^^*) (2019年9月18日 12時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年7月19日 2時

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