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「俺も、宏光と出会えて良かったと思ってる。」
10年間、ありがとう。
耳元で囁かれた言葉に、若干の違和感を感じた。
まるで、もうお別れかのような言葉だ。
それでもアルコールと涙のせいで、思考回路は大して働かない。
「ふは、三十路男がわんわん泣いとる」
「うっさい゛…、忠くんのせいだろっ」
あ。藤ヶ谷のこと忘れてた…
そう思い、大倉の腕から抜け出すと、藤ヶ谷の瞳も何故か濡れていた。
「何でお前まで泣いてんだよ、」
「いや…、ちょっと、感動しちゃって」
「ふは、2人そろって泣き虫やなあ」
大倉の気の抜けた笑い声に、俺も泣いているのに笑えて来る。
「ほら、飲み直しやー、はいかんぱーい！」
「もう忠くん、飲んじゃ駄目！」
「かんぱーい！」
「藤ヶ谷はもっと駄目だー！！！」
＿＿＿＿
次の日から、今まで行けていなかった大阪を始め関西の観光地を藤ヶ谷と巡った。
大倉はというと、ゴールデンウィークにも関わらず相変わらず忙しそうで、それでも時間がある日は3人で出掛け、10連休はとても楽しい思い出が出来た。
10連休最終日。
家を10日間も空けっ放しにしていたのが流石に不安なのか、いつもは最終の新幹線で帰る所を昼の便で帰る藤ヶ谷を駅まで見送った。
「はー、何か、帰るの凄い寂しいな」
「まあ、またすぐ会えるだろ」
「だって、次の連休って7月じゃん…」
藤ヶ谷を見送るこの瞬間だけは、何度しても慣れない。ホームの端でなるべく身を寄せ合いながら新幹線の時間を待つ。
「ようやく忠くんとも会えたし、今度から来るのもっと楽しくなるんじゃね」
「あー…うん、そうだね」
「何その歯切れ悪い感じ。まだ忠くんにヤキモチ妬いてんの？」
俺がそうからかうと、藤ヶ谷は困った顔で笑った。
藤ヶ谷と大倉は結構仲良さげに2人でもよく話していた様子だったから、もう嫉妬など無いかと思っていたけれど、そうでもないのだろうか。
藤ヶ谷が何か言いたげに口を開いたタイミングで、新幹線の出発の時間を告げるアナウンスが鳴ってしまった。
「…俺、そろそろ行く」
「おう、またな」
「あのさ」
「うん？」
「大倉さん、実は……っ」
プシュー、というドアがしまる音にかき消されながらも、藤ヶ谷は俺に言葉を残した。
「は…？」
“大倉さん、実は、海外に転勤するんだ”
俺の元に届いた言葉は、信じられない残酷な知らせだった。
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魚(プロフ) - xxxさん» コメントありがとうございます！高嶺の花シリーズ、本当はシリーズ化する予定ないまま書いたのですが意外と皆様から好評で嬉しい限りです…｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡まだ完結はしておりませんので、気が向いたら書かせていただきますね！ (2019年9月7日 13時) (
レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - もっともっと続きを読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
xxx(プロフ) - 初めまして。高嶺の花シリーズ大好きです。 (2019年9月7日 8時) (レス) id: 56bd14aad5 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - たいちゃんらぶさん» どれもこれも超未完成な中途半端な状態だったんですが、下書きにしておくのも何だかなあ…と思い、公開してしまいました…|･ω･`) いつも適当な更新スタイルですみません！笑 気が向いたらシリーズ化していきたいと思っております〜！ (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - あんさん» お返事遅れてすみません｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡！あんさんの作品を読んでいて、Kさんの方がFさんに対する独占欲強いんだろうな、と思い、Tくんと居るところを見てめちゃくちゃ嫉妬する…っていう展開を考えて書かせて頂きました笑 (2019年7月2日 23時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚
| 作成日時：2019年4月14日 1時
