一方その頃……1 ページ16
私達がこのライラ王国って場所に召喚されてから数日が経った。私達Sグループは固有スキルを持っていたからそれを伸ばす方向でスキルやステータスをガンガン育てるって方針のようで、初日にスキルの使い方やステータスの見方を教わった次の日からずっとMPって呼ばれる魔力というものが切れるまで訓練ばかり。
ベッドの質や衣服、料理にお風呂も豪華だけどまだまだ慣れないな。顔を合わせるのも同じSグループの水穂ちゃんに光神君、荒葉君ぐらいだし……他の皆は大丈夫かな?特にFって判定されてた雨野君、あんまり話したこと無いけど一人だけで訓練してるのかな?たまにABCの子は見かけるけど彼だけは召喚されたあの部屋でランクごとに別れた後に見た記憶がない。
「おはよう、聖菜。」
私がぼんやりと自分に与えられた部屋から食堂へ歩いていると、同じく部屋から出てきた水穂ちゃんが話しかけてきた。
「あ!おはよう、水穂ちゃん。」
「朝からボーッとしてどうしたの?」
「ちょっと考え事。」
「へぇ〜。何考えてたの?」
「えっとね、召喚されてから今日までの数日の事。ここってすっごく豪華な場所だけど、私達は毎日訓練で休みたいな〜って。」
「まぁ、そうよね〜。お風呂とか映画の中みたいに広いし。まあ訓練は魔族って連中との戦争に巻き込まれちゃった以上自衛の為って割り切るしか無いんじゃない?」
「そうだよね〜。まあ戦争自体を無くせれば一番だけどそんな事私達みたいな学生にはできないもんね。」
「そうそう。あと折角ゲームみたいに目にみえて強くなれるんだからこの仕組みは楽しみましょ?まあ現実だってことは忘れちゃ駄目だと思うけどね。」
「そっか。あ、そういえば雨野君って初日以降に一回でも見た?」
「雨野君?あぁ、一人だけFって判定されてた彼ね。ん〜そういえば見てないね。」
「でしょ?今どうしてるかな?」
「あの聖女様がヒステリックに嘆いてたものね……。でも流石にラノベみたいに追放されては無いと思うけどね。だってそんなことしたら私達が逃げ出す口実を作るようなものじゃない?」
「確かに私達を逃がすようなことはしなさそうだもの。」
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……マズイですね。偶然話し込んでる勇者様方の話の内容が聞こえて来ましたが、これは一刻も早く彼を連れ戻さなければならないと聖女様にお伝えせねば。全く、もう少し諜報活動は休みたかったのに……メイド服、暫くは着れないかな。可愛いのに。
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2020年9月15日 23時