訓練とスキル ページ15
ウィレーヌ様に言われたとおりに木剣を振り続けていた。すると突然木剣が重くなった。
「あれ?……あ、そうか。ウィレーヌ様の魔法が切れたのか。大体一時間って言ってたしな。そういえばスキルは手に入ったのかな?ステータス。……お、剣術レベル1が手に入った。これで剣に補正が入るのか。後は自分の筋力と技術面……頑張ろう。」
力が足りないので木剣は置いて再び棒を手に取る。無心で真っ直ぐに振り下ろす事を繰り返し、そのまま日が傾くまで振り続けた。
夕飯が運ばれてくる前に木剣と棒を片付け、汗をかいたので身体を拭くためのタオルを取り出す。僕の部屋は12畳程と広く、最初この部屋を与えられた時は流石魔王城だなぁと思った。そしてこの部屋にはかなり大きいベッド、鏡付きの洗面所、着替えの入ったクローゼット、使い勝手の良さそうな無骨な作りの机、個室のトイレがあった。日本にいた頃に使っていたような道具は大抵魔道具で暮らしは快適だった。なんでも大昔の勇者が人族に伝えた魔道具が普及して、その技術が長い時間をかけて広まってきたらしい。そしてクローゼットには普段使い出来るようにタオルが常備されている。
「あ〜疲れた……。」
身体を拭き終わったタオルを洗濯物用の籠に入れ、着替える。
「ステータス。」
改めて自分のステータスを確認すると、棒術レベル1というスキルが追加されていた。
「まぁ棒ずっと振ってたからね……。」
少し複雑な気持ちではあるがまあ貰えるものは貰っとこうと思う。夕飯までまだ少し時間がある。だからスキルの説明を読むことにする。
「えっと……剣術スキル。発動時に動体視力や身体能力に補正が掛かり大抵の剣を扱えるようになる、と。でもって棒術スキルも発動時基本的な身体能力が上がる、と。これからはステータスにある筋力値、これを上げれば良いのかな?後はスキル以外の補正がこの()内の数値か。基礎補正値今んとこはほぼ0だしこれから頑張るか……。」
そしてステータスを見ながらこれからどうするかを考えていると部屋の扉がノックされた。
「どうぞ。」
「失礼します。夕食をお持ちしました。」
扉が開き、魔族のメイドさんが料理の乗ったワゴンを押して入って来た。
「ありがとうございます。」
「いえ、毎日綺麗に完食していただけるので料理人も喜んでますよ。ではまた後ほど。」
メイドさんが部屋の扉を閉める。魔族の料理は人族の物と大差は無いがシンプルな味付けで美味しかった。
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2020年9月15日 23時