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翔平はしばらく何かを考えていた。
「守りたいものって…お前さぁ…」不意に呆れたような顔で翔平が言いかけたので、「なに」と短く返す。
翔平は少し躊躇ってから顔を上げ、しきりとペットボトルのキャップを指でいじりながら言いにくそうに口を開いた。
「俺からしたらよっぽどお前の方が独り善がりだと思うけどな」
「は、なんでだよ」
困惑が降り積もった。
鋭い声が喉から飛び出し、翔平は喉の取りにくい位置に魚の小骨が刺さってしまったかのような表情で肩をすくめる。
「Aが、他のメンバーに迷惑かけちゃだめって言ったんだろ」
「うん」
「コソコソするのも嫌だって」
「そう」
「だったらAが守りたいのって、別に自分じゃなくてお前のことじゃん」
翔平があまりに何気なくそう言ったので、「は？」と聞き返した。
翔平は何とも言えない表情で、首の裏をかいた。
「俺もよく分かんねーけど」
「……」
「アリーナ3回もやってるAが言ってんだから間違いじゃないんじゃねーの、そういうのって」
「そういうのって？」
「だから、色々だよ。」
「色々ってなんだよ」
つい語気が荒くなって、心の中で自分を牽制したけれど、翔平は飄々とした様子でいる。
「ファンのこととか、メンバーに迷惑かける話とか、そういうのだよ、色々」
「…Aがそうやって決めつけてるだけだから」
「でもお前だってAが言ってるのが正しいってことくらい、分かってんだろ。」
図星を突かれたようで恥ずかしくなり、さっきよりも大きな声を出した。
「正しいとかそういう問題じゃないんだよ」
「じゃあなに？」
「気持ちの問題」
「いつまでも中学生みたいなこと言うなって」
心底呆れた声だった。
「今のお前はほんとにおかしい」
「おかしいって何が？」
「お前Aのこと好きすぎだよ。」
「だからそれの何が悪いんだって」
「我忘れて気持ちだけでこの先やってけるとか無理に決まってんじゃん」
「お前に何が分かるの？決めつけんなよ」
「少なくとも7年？いやもっとか？そんくらいはずっと一緒に来たから分かるって、んなこと。決めつけとかじゃない」
「翔平には分かんないよ」と、声を絞り出すと、翔平は再び呆れた声で
「この先俺ら、いっぱい楽しいこと待ってんだよ。ツアーもあるし、ホールの次はアリーナ回れるかもしれないし、それ考えても気持ちだけでいけるとか言うわけ」と言った。
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みみ - 定期的に読み返しています！大好きな作品で続きが気になって仕方ありません！ (2022年5月14日 1時) (
レス) @page18 id: c42b45f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - 読ませていただいてます。 (2022年4月30日 13時) (レス) id: 6e3ccbc5ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 大好きな作品です！！！！何度も読み返しております。 (2022年4月30日 2時) (レス) @page18 id: ff889105d6 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 何回も読み返しています。更新待ってます。 (2022年1月18日 4時) (レス) id: 07e857a9fb (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - きっと2人とも今すごく辛い状況にいて好きだという気持ちだけではどうにもならない世界が本当に苦しいですが、とにかく2人がこのあと2人の正解をしっかり導き出せることを祈ってます。 (2020年7月16日 21時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年7月3日 21時
