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「……会いたいって言ったよね。さっき」
「…うん…」
「……正直さ、今更なんでって思った。」
ごめん、と呟こうとしたけれど声に出なかった。
「気持ちには応えられないって…言ったよね。」
「…それは…」
夜の粒子が2人の隙間に入り込み、するりと肌をなでた。
「分かってるよ、Aちゃんの気持ちは…でもなんでまた今さ…会いたいって言うんだよ」
「……ごめんなさい」
「…諦めさせてよ。俺…単純だから、こうやってすぐ来ちゃうし」
「……樹くん。」
また涙が出た。
彼は困ったような顔をして、中途半端に手を握ったまま待っていた。
夜の空気を大きく吸い込み、呼吸をととのえようとして、でも上手くできなくて、それを繰り返してようやく本当に落ち着いた。
「…俺がもっと大人だったら」
彼は手を強く握った。
彼の手は冷たく、骨ばって大きくて、力が強かった。
「大人だったら…一晩中 一緒にいよう、とか言えるけど…、でも、無理だから…そういうの…」
「…一緒にいたい…」
「…、Aちゃん」
遠くからざわめきが聞こえてきていたのに、彼の瞳に見つめられた瞬間に周囲のざわめきがするりと抜け落ちた。
「……正直さ…クリスマスの電話の時…、あの時、俺…Aちゃんの気持ちが全然わかんなかった」
何の話を彼はしているんだろう、と今度はまわらない頭で考えた。
生暖かい風が頬をなで、髪を揺らした。
「…でも今…こうやって前に出る機会増えて、ファンもちょっとずつ増えて、やっと分かった。あのときのAちゃんの気持ち」
「………」
「大切なものを守るためには…もっと大人になんなきゃいけないって分かった」
「…どういう意味…？」
「俺…Aちゃんのこと守れるくらい…大人になるよ」
「………樹くん」
あの頃の方がずっと純粋な想いを、胸に秘めて、ぶつけて
あのとき自分の言った言葉は
今の自分たちのそのままの想いかもしれない。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
