16-�� 解放 ページ28
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「……今…どこにいるの？」
「……、分かんない…」
「え？なんで？外？」
「車…途中で降りてきたから…、でもたぶん、事務所の近く…」
「……動かないでよ。」
「…、来て…くれるの…？」
「今日だけだから。…これからは…こういうのだめだから。」
「…ほんとに…？」
「今日…具合悪そうにしてたでしょ。1人でフラフラして倒れたらどうすんの？」
返事の代わりに涙がこぼれた。
「…撮られても知らないよ。」
「いいよ…そんなの…」
「いっちゃん？どっか行くん？」「あ、ちょっとコンビニに…、」「…こんな時間に？やめときな」「すぐ戻るんで」電話越しにガチャンと音がした。
「電話繋げとこうか？」
「どっちでもいいよ…」
「走るから、切る。具体的にどこにいるか教えて」
「事務所の裏の道…ちょっと抜けたところ…」
「信号あるところ？」
「…うん。十字路になってて…」
「……フラフラして車に轢かれないでよ。」
「…樹くんに会うまで、絶対死なない…」
「………じゃあ切るよ」
暗い道にぽつんとあったバス停のベンチに座って、ただ彼を待った。
涙が乾いて頬が引きつった。
時々通る人はわたしに目もくれず通り過ぎてゆく。
東京は人が多い、でもこんなにたくさんの人がいるこの街の中心で、わたしは独りぼっちだった。
無心になろうと、今にも消えそうな街灯のひかりを見つづけた。
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「……ほんとに、なにしてるの」
誰かの吐息が聞こえて
横を向くと、息を切らした彼が立っていた。
「………」
「なにしてんの」
本物？…現実味のない頭のまま、彼をぼんやり見つめた。
「…樹くん…？」
「バカじゃねぇの、ほんとに…」
「……、」
「…帰るよ。送ってくから」
「…帰らない…」
彼はため息をついた。
街灯に照らされ、彼の明るい茶髪がひかった。
「…ワガママ言うなよ」
「…1人になりたくない…」
「…家まで送るから」
「…怒ってる…よね」
「怒ってるよ」
彼がそう言いながら、わたしの顔を覗き込んだ。
「…なんでそんなになるまで、ほっといたわけ？」
「…もっと強いと思ってたもん……自分では」
「…弱いよ。Aちゃんは、昔から。」
「……言わないでよ、意地悪…」
「心の中は傷だらけなのに強いフリしてるの、昔から」
彼の口調はいつもよりずっと荒々しく、彼は乱暴に隣に座った。
また涙が出た。
深夜の明るい街
隣に座っている樹くんは遠かった。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
