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「無理なら無理って言わんと、いっちゃんもずるずるAちゃんのこと好きなまま、この先やってくことになる」
「………」
「俺らデビュー目指してんねん。いっちゃんの気持ちもAちゃんの気持ちも、辛いってことは分かるんやけど、でも大人にならなあかん」
ぴゅう、と冷たい風が通り抜けていった。
「…大人ですよ、彼は…」
「Aちゃんの方が大人。この世界のこと分かっとると思うわ」
「それは…」
この人はデビューに向かってまっすぐに、ひたすらまっすぐに進んでいるんだなと思ったら、余計にお腹の底の方が重くなった。
「俺は昔からいっちゃん見てるから余計そう思うのかもしれんけど、いっちゃんは真っ直ぐで真面目な分 不器用だし、嘘が上手いわけやない」
彼は、自分にないものを持ってる
「………だから好きなんだもん…」
「でも気持ちを曖昧にごまかしてんのはそっちちゃうん？」
「だって…即答できる立場じゃないから…！」
「そうやな。でもAちゃんがそうやって板挟みになって苦しんでるのは、いっちゃんは知らんと思うよ」
「……どうして」
「Aちゃんがハッキリ言葉にしないから。何も言わんで相手に理解してもらうのは、難しいことやと思う」
責めたてる喧嘩腰の口調ではなく、兄が妹をそっと諭すような口調で、わたしは言葉に詰まった。
彼の気持ちも、
岩谷くんの気持ちも、
自分の気持ちも、
ごちゃごちゃに心の中で混ざって、ただ混乱した。
「いっちゃんは、Aちゃんから連絡来なくてなんでだろうって、好きじゃないのかな嫌われたかなって、ただそれだけ考えて悩んでる。Aちゃんみたいにいっぱいファンがいて紅白に出るくらい知名度があるわけやないから、Aちゃんの本当の気持ちは分かっとらんよ」
「…………、」
「付き合うならちゃんと気持ちを言って、ファンからは本気で隠す。付き合う気がないなら、いっちゃんをハッキリ振るべき。ほんまにいっちゃんが好きなら、どっちかにしといてあげてほしい」
わたしがすべきことは1つなんだと…言われている気がした。
わたしは暗闇の中、うつむいてただ涙をこらえた。
何か言葉を発すれば、
泣いてしまいそうだった。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
