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「ちょ…お前大丈夫？」
朝、開口一番に翔平はそういった。
まじまじとわたしの顔を見て、怪訝そうな顔をしながら。
「…昨日…あんまり寝れなかった」
「バカだな〜。アドレナリン出ちゃってたの？」
「…うーん、まぁ」
「ライブまでに寝とけよ」
「……うん…」
目が腫れているとかそういうわけじゃなかったけれど、目の下にはクマが出来ていて顔色も悪くて。
翔平のとなりの樹くんは何も言わずに、そっとわたしを見ていただけだった。
見つめ返すと、ほんの少し樹くんは眉根を寄せた。
その日のリハも、疲れて身体の動きは悪くて、色んな人に心配された。
こんなのライブに出る資格ないなんて思いながら、階段の踊り場でまた練習した。
開演10分前
衣装に着替えて、スタンバイする。
心は晴れないままだった。
観客のキャーという声援をひどく遠くに感じ、わたしはぼうっとその場に突っ立って動けなかった。
「…Aちゃん」
「………なに…？」
「大丈夫？」
樹くんが珍しく、はっきりと目を見てそう問いかけてきたから、思わず口ごもる。
樹くんは相変わらず眉根を寄せて、まっすぐにわたしを見てた。
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胸が、締め付けられて、
「…樹くん」
苦しくなった。
「……出たくない……」
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床を見ながらまばたきをした。
開演5分前、バックステージが少しずつ淡い闇に侵食されてゆく。
「…Aちゃんが頑張ってるの…伝わってるよ…？」
「え？」
「俺は知ってる…すごい努力してるの」
「…」
「Aちゃんは…ほんとに、上手いから…自信持って、一緒に頑張ろう」
そこまで樹くんは一気に言って、わたしが口を開いた時に照明が完全に落ちた。
「おいはやく！」
「あ…うん」
先頭に立つ翔平を追いかけて、わたしたち2人は慌てて走った。
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彼がくれた言葉は確かにあの日、わたしを救ってくれたのだ。
何よりも欲していた言葉を、簡単に、でも心から、彼はわたしに言った。
淡い記憶を思い起こしたら、またほんの少し、胸が詰まって苦しくなる。
「頑張るってなに？」
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蘭の花(プロフ) - Lさん» 気づくのが遅くなりました汗 本当の小説のようなんて本当に嬉しいです。今後もまだまだ続くので、ゆっくり読んで下さいね(^^) (2020年5月8日 18時) (
レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
L - 今まで読んでいた夢小説の中で1番文章がしっかりしていて、言葉選びもほんとの小説のようですごく感情移入して読めました。この先どうなるのか気になってしまい、一気に読んでしまいました。続きも楽しみに読ませていただきます！ (2020年4月29日 20時) (レス) id: 3835f70abc (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - h_r_k_yさん» ありがとうございます(^^) (2019年9月23日 14時) (レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
h_r_k_y(プロフ) - 一気に読んでしまいました^ ^更新楽しみです！ (2019年9月23日 13時) (レス) id: 4d2b3f43a7 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - ひかるさん» ありがとうございます(^^) (2019年9月14日 20時) (レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年8月23日 21時
