戀

恋 ページ19

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「もしもし、治？」

「あー、うん。侑、来たで」

「大丈夫やって。もう切った」

「ああちゃう、縁やなくて、んー、なんやろ。想い、的な」

「うん」


「私、治のことが好き」

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ララちゃんの一件があってから、治と一緒に過ごすようになって。

彼がどれほど私のことを見ていてくれたのか、気にかけてくれていたのかが痛いほどわかった。


恋と愛と執着と。それらの違いをはっきり言うことはやはり難しい。時には誰と過ごしているかを考えるのが恋で、どんな風に過ごしているかを考えるのが愛だという人もいる。

うん、やはり分からないな。


「A」
「治！ 今日どこに行こっか」


治は私のことが愛しいと言う。
侑の私に対する想いと、治の私に対する想いは全くの別物なのではないだろうか。

侑と私の間の糸は何度も絡まって拗れてしまいには解くことは不可能となり切る選択肢しか残されないほどになってしまった。

けれど治と私の間に糸があるとしたら。それはきっとどこも絡まってなんかいなくて、玉結びだってひとつもないだろうな。


「治ってめっちゃ性格ええよな」
「そうか？ Aにとってそうなんやったらええけど」
「なんやそれ」
「んー？ こっちの話」


戀、って、もう一つ何か意味というか考え方があって。気になって調べてみたことがある。そうしたらなんとも素敵なことが分かったのだ。


愛し愛し(糸し糸し)と言う心



なんてね。

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