コイ ページ12
のまれる。
心が、記憶が、彼が正しいと言って言うことを聞かない。
自分の意思はそこにない。
そこにあるのは侑の意思だけ。だって今までそうやっていきてきたんだもの。そうなるのは当たり前じゃないか。
「A」
わたし、いつまでたっても従順な犬のままだ。
「こい」
差し伸ばされた手は治のものだった。
幼い頃からよく知る、もう1人の手のひら。
私を見る目はまっすぐで、強くて。この時初めて私は、侑の目の前で何の思惑もなくただ純粋に治のことを優先した。
お昼ご飯に誘われていた時だった。侑が私と再び食べてくれる、そう思っていた時だったのに。
私は治の手をとった。なんだこれ、私は一体どうしたのだろう。
「A、なんか最近治に懐いとるな」
侑の笑顔は浅い。目が笑っていないその表情は少し怖くて、無意識にぎゅうっと治の手を握ってしまった。
「あんなあ侑。失敗はやり直せるやつとやり直せへんやつがあるんや」
「何やいきなり」
「お前の失敗は後者。残念やけど、もうおしまいや。お前の、」
侑の目が揺らいだ。不安定に揺れるのを見るのは初めてで、新しい侑の姿に戸惑う。
侑はいつだって優しかったけれど、弱くはなかったから。今の瞳の揺れ方は、不安や後悔の色が見える気がする。
「お前のコイは、もう報われん」
そのコイは、恋なのか、故意なのか、また違うものなのか。
その時の私には全くわからなかった。
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ぴーなつ(プロフ) - ゆーり。さん» ゾクゾク感を感じていただけたのであれば幸いです( ˘ω˘ )!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり。 - 読めば読むにつれて鳥肌が止まらず。。。ほんとにめちゃくちゃゾッとしました。でもそれ以上に言い表せない高鳴りが!!!面白かったです!!!! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 56b835e328 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - (名前)さん» この作品で1番の黒幕と言いますか、操り糸を自在に動かしていたのは治だった、という事実をインパクトをもってお伝えしたかったので、そのようにコメントいただき嬉しいです( ; ; )!ありがとうございます (2020年4月9日 21時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ良くてびびりました!!特に最後の二ページに鳥肌が止まらないです!夢主はちゃんと恋になったけど治は戀...。予想していない展開でした、とにかく最高です!!! (2020年4月6日 2時) (レス) id: 678e1d11d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - こはるさん» こははははははる!!!ちょっと自分でもびっくりするくらいドロついて収集つかなくなりそうになりながら無事終わらせました( ˘ω˘ )! ありがとう! 侑はドロドロがとんでもなく書きやすい!!笑 (2019年10月18日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーなつ | 作成日時:2019年9月18日 22時