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私って何? ページ11

「Aちゃんって侑くんの何なん?」

昼休みでもなんでもない、ただの授業間の10分休みの時、ララちゃんは1ミリも可愛くない顔で私の席に来た。
顔は同じなのに、雰囲気や目だろうか。それらが変わるだけでこんなにも人は別人に見える。


「幼馴染、なんちゃん」
「幼馴染って何なん。なあ、そんな特別な物なん、それって」


ぱたたっと机に数滴雫が落ちた。一瞬何なのか分からなかったけれど、ハッとして座ったまま見上げると、人目も憚らず泣くララちゃんがいた。

強かでずる賢い。そんなイメージがあったから、彼女が振られて泣いているのを見て、当たり前のことなのに意外ですごくびっくりしてしまった。


「私、おもっとったより使えへん駒やってんて」
「駒、って。それ侑が言うたん」
「そうやで。なに、侑くんて元々そういう人やん。……まあ自分に適用されると思ってへんかった私もアホやけどな」


たしかに毒舌だし他人にも厳しい人だけれど、まさかそんな。自分の彼女だった他人に、そんな風にいうのか?

「侑くん、Aちゃんの前やとなんかちゃう」

私の侑は、ドロドロしているけれど甘くって、優しくって、いつも私を守ってくれて。
そういうひと、で。


「……もうどうでもええけどな」


Aちゃんは何も知らんみたいやし、と言ってララちゃんはうちのクラスを去っていった。その「何も知らない」という言葉は妙に胸に刺さった、わけもわからずしんどくなった。


恋だなんて可愛いものでもない。けれどわたしが侑に向けるそれは執着じみた片想いであることは確かで。


私にとっての侑は私の世界の全てで、侑の世界でこれからも息をしていきたいから、私は今こんなにも必死になっていて。


なら、それなら。


侑にとっての私は何なのだろう。


幼馴染としか言いようがないはずなのに、ララちゃんの様子などを見ていると「私が原因」で別れたように思われた。


「A」
「あつむ」
「大丈夫か? なんか嫌なこと言われんかった?」


机の上で、ほんの少し重なる指と指。ぬくもりはいつまでも変わらない。
その安堵に心がのまれる。

「大丈夫、普通に話しただけ」
「なんかあったら言うてな」

ああそうか。私にだけ優しいんだ。だからララちゃんは私に嫉妬したんだ。だから、



だから、やっぱり今目の前で優しく微笑む侑が、私のよく知る侑なのは間違いないんだ。

コイ→←それはまるで蜂蜜のような



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ぴーなつ(プロフ) - ゆーり。さん» ゾクゾク感を感じていただけたのであれば幸いです( ˘ω˘ )!嬉しいコメントありがとうございます! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり。 - 読めば読むにつれて鳥肌が止まらず。。。ほんとにめちゃくちゃゾッとしました。でもそれ以上に言い表せない高鳴りが!!!面白かったです!!!! (2020年4月11日 9時) (レス) id: 56b835e328 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - (名前)さん» この作品で1番の黒幕と言いますか、操り糸を自在に動かしていたのは治だった、という事実をインパクトをもってお伝えしたかったので、そのようにコメントいただき嬉しいです( ; ; )!ありがとうございます (2020年4月9日 21時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - めちゃくちゃ良くてびびりました!!特に最後の二ページに鳥肌が止まらないです!夢主はちゃんと恋になったけど治は戀...。予想していない展開でした、とにかく最高です!!! (2020年4月6日 2時) (レス) id: 678e1d11d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - こはるさん» こははははははる!!!ちょっと自分でもびっくりするくらいドロついて収集つかなくなりそうになりながら無事終わらせました( ˘ω˘ )! ありがとう! 侑はドロドロがとんでもなく書きやすい!!笑  (2019年10月18日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーなつ | 作成日時:2019年9月18日 22時

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