3-1 ページ22
「マナツ」
真夏に拾った狐だから、そのまんま『マナツ』と呼ぶ事にした、彼。
私がその名を呼べば、楽しそうに口角を上げて、周りに群がる霊妖を喰い殺す。
「もう少し綺麗に消せないの」
「無理」
ぺろりと口の端についた何かを舐めとって、満足げに私の隣を歩く。
見た目こそ人間だが、こいつは野良狐である。
気まぐれでごはんをあげて、気まぐれで拾った。
「にしてもA、お前よく今まで生きてきたな」
「おじいちゃんのお守りが強力だったのかもね。群がってきても襲われることはなかったわ」
「でも、そいつが死んだ」
「そこに丁度いたあんたを拾ったの」
好かれやすい体質ーー……しかもそれは、人ではないものから。
昔払い屋のようなものをしていた祖父は、そんな私を見かねてお守りをつくってくれた。
そんな祖父が亡くなって、お守りの効力も消えたのか、霊妖から逃げる日々。
そんなときに拾ったのがこの狐、ということだ。
「でも俺を拾ってよかっただろ?」
「調子にのるなバカ狐」
軽く頭を叩くと、ケラケラと愉快そうに笑う。
古傷が、人間の姿の時も隠れていなくて、不良に見える。
「あーー、周りからどう思われてるんだろ」
「そりゃあ恋人だろ」
「は? ふざけんな」
この狐は妖怪のくせによく喋る。
30人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーなつ(プロフ) - 通行人Bさん» こういうときついった繋がっててよかったって思うありがとう! (2017年9月6日 1時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
通行人B(プロフ) - ぴーなつさん» そそ割とコメントしてた!! りえだったんです〜!! 笑 どういたしまして!! (2017年9月3日 21時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - 通行人Bさん» ありがとう〜〜! 通行人Bて、え、結構コメントもらったことあるんじゃ!?笑 里依だったの!笑 コメントありがとね〜〜! (2017年9月1日 14時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
通行人B(プロフ) - 3日に1度のペースで読み返しにきてます里依ですよ!! これほんと好きなんだよね!! コメントするの忘れてた気がするからしときます完結おめでとう!! 笑 (2017年8月30日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなつ(プロフ) - ラシェーヌさん» ありがとう! 悲しいばかりのエンドでも、どこかに美しさや儚さを感じてもらえたのなら!嬉しいです! (2017年8月30日 11時) (レス) id: fdda74aed7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ