#35 : いずれ ページ35
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# Uchimura
冷房の効いた室内
窓を閉め切ったお陰か、蝉の声は一層小さくなった
おれはAちゃんに助けられてばかりなのに
一度だって行動で返せたことがない
自室のベッドに寝転がって天井に手を伸ばす
もし、あの時俺が自転車が来ていたことに気が付いていたら？
もし、Aちゃんの腕をもっと早くに掴んでいたら？
俺の耳が微かな音さえも聞き逃さなければ、叶ったかもしれない
現実性のないもしもの話
何の理由もなくAちゃんの側に居られる存在が
Aちゃんに手を差し伸べられる深田が
心底羨ましい
“一方通行”
“お似合い”
“俺が居なかったら”
おれの頭の中に流れ込んできた言葉達が脳内を支配する
ズキズキと痛んで頭が割れそうだ
意識が朦朧とする
.
ボヤけた焦点を目の前に合わせると
カルテ片手にこちらを向いた医者は眼鏡を曇らせた
「だいぶ落ちていますね、聴力」
耳鳴りを母親に訴えると、病院に行くよう促されて
検査した結果がコレだ
『耳って悪くなっていくものなんですか』
「そうですね、加齢と共に起こり得ることですよ」
『じゃあ、いずれ全く聞こえなくなる事も』
「……、否定は出来ません」
突如告げられた言葉は
あの時みたいに俺をゆっくりと支配する
…聴力が落ちている
おれの生活よりもこれからの生き方よりも
頭の中を埋め尽くしたのはAちゃんのことだった
今まで聴こえていた音もいずれ聴こえなくなる
いつか、Aちゃんの声すらも____
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徒歩５分(プロフ) - 更新頻度も不安定なものでしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。やっとこちらが完結したのでノマエンの方も再更新したいと思います。 (2022年1月13日 2時) (
レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 作中には書いてませんが深田くんは最後まで主人公を想い続けていました。それ故に想いを伝えることなく内村くんの背中を押した。伝えても主人公を悩ませてしまうと分かっていたからです。 それが1番愛が重い気がしたので、という完全なる私情ですがね🙌 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 話数も文字数もいっぱいになってしまったので此処であとがき失礼します。 どうしても50話で終わらせたくて最後に詰め込んだ形になってしまいましたがお話はこれで完結です。 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 結羽さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
結羽 - コメント失礼します🙇♀️更新楽しみに待っています。 (2022年1月6日 21時) (レス) @page43 id: dae3c1a76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒歩５分
| 作成日時：2021年7月18日 15時
