#25 : 十分 ページ25
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「ごめん、課題で結構忙しいんだ
院生の人とかに聞いたほうが早いと思う」
断りを入れた内村くんは
行こう、と私の手を取った
去り際、可愛らしい顔を歪ませてキッと睨まれたのは多分気の所為じゃない
『今の子、質問したかったんじゃなくてお話したかったんじゃない？』
「えぇーおれなんかと？」
『なんかじゃないよ。内村くんと親しくなりたいって子沢山いると思う』
内村くんはいつも謙遜して言うけど
誰から見たってかっこいいし
優しくて気がきくし
内村くんが噂通りの人じゃない、と知れ渡った今
仲良くなりたいと思わない方が可笑しいくらい
せっかく深田達以外とも仲良くなるチャンスだったのに、なんて本心からではない言葉を吐き出せば
内村くんは口を尖らせた
「別にいい。長く居たら声とか聞こえにくいの面倒って思われるだけだし、いつか嫌になるから」
『そんな事ないって、現に私は内村くんとこれからもずーっと仲良くしたいって思ってるよ』
「おれはそれで十分。大事な人にだけ分かってもらえてればそれで良いよ」
ずらされた視線は遠くを見つめる
表面上は笑っているけれど、瞳の奥に見え隠れする悲しげな感情を見逃しは出来なかった
けれど深掘りする勇気はまだない
『そういうもんなの？』
「うん、
あ！あれ新しいやつじゃない？」
売店に売られたグミを指さした内村くんは握ったままだった私の腕を引く
「深きょんはどれかなぁ」
『うっちーくんが選んだのなら何でも喜ぶよ』
「え！うっちーって呼んだ！」
『……だめ？みんなそう呼ぶんだもん』
私の方が友達になって長いはずなのに
いつまでたっても “内村くん” 呼び
小っ恥ずかしいけどあだ名の方が仲良さそうじゃん
なんて、さっきの女の子に少しだけ嫉妬してしまった
「Aちゃんは颯太でいいよ
おれだってAちゃんって呼んでるし」
『じゃあ、…颯太くん』
「きこえなーい！もっかい呼んで？」
『うそ、絶対きこえてた』
「ほんと！ねぇー」
『もういいから、颯太くん早くレジ行こ？』
「、うん！」
キラキラと目を輝かせる颯太くんは子供みたい
嬉しそうに笑う顔を見たら、ずっとこのままでいられたらなぁって
1番の友達で居られなくてもいいから
ずっと、笑顔で話し合える関係のままでいたい
そう思った
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徒歩５分(プロフ) - 更新頻度も不安定なものでしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。やっとこちらが完結したのでノマエンの方も再更新したいと思います。 (2022年1月13日 2時) (
レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 作中には書いてませんが深田くんは最後まで主人公を想い続けていました。それ故に想いを伝えることなく内村くんの背中を押した。伝えても主人公を悩ませてしまうと分かっていたからです。 それが1番愛が重い気がしたので、という完全なる私情ですがね🙌 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 話数も文字数もいっぱいになってしまったので此処であとがき失礼します。 どうしても50話で終わらせたくて最後に詰め込んだ形になってしまいましたがお話はこれで完結です。 (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
徒歩５分(プロフ) - 結羽さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです (2022年1月13日 2時) (レス) id: 045302e95b (このIDを非表示/違反報告)
結羽 - コメント失礼します🙇♀️更新楽しみに待っています。 (2022年1月6日 21時) (レス) @page43 id: dae3c1a76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒歩５分
| 作成日時：2021年7月18日 15時
